2012/9/24

環境・通信・その他

花粉はハチミツの「成分」にあらず、欧州委が法改正を提案

この記事の要約

欧州委員会は21日、ハチミツに含まれる花粉はハチの活動によって混入する「天然の組成分」であり、ハチミツを構成する「成分」ではないとの見解を示し、2001年に制定されたハチミツの製造・販売に関するEU指令を改正する方針を明 […]

欧州委員会は21日、ハチミツに含まれる花粉はハチの活動によって混入する「天然の組成分」であり、ハチミツを構成する「成分」ではないとの見解を示し、2001年に制定されたハチミツの製造・販売に関するEU指令を改正する方針を明らかにした。これは欧州司法裁判所(当時)が昨年9月、花粉はハチミツの成分であると認定し、遺伝子組み換え(GM)作物の花粉が混入したハチミツを販売する場合はGM作物に関するEU規則に基づき、事前の認可が必要と結論づけた判決に対抗するもの。欧州委は以前から花粉はハチミツの成分ではないとの見解を示していたが、司法裁が異なる解釈を示したため、ハチミツと花粉の関係を明確化させて法的不確実性を取り除く必要があると判断した。加盟国の承認を得て01年の指令を改正する。

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ことの発端は、ドイツ南部バイエルン州の養蜂家がハチミツを採取したところ、近くにある州の試験所で生育した米モンサントのGMトウモロコシ「MON810」の花粉が混入していることが判明。自家製のハチミツがGM作物に汚染されたとして州を相手に訴訟を提起したところ、州は欧州司法裁に判断を委ねた。欧州裁はGM作物の花粉はハチミツの成分にあたるとし、03年に導入されたGM作物に関するEU規則に基づいて、GM花粉の含有率が0.9%を超える場合はその旨を表示しなければならず、販売する際は事前認可が必要と結論づけた。

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これに対し、欧州委は「養蜂家が関与したかどうかに関わらず、花粉はハチの活動によってハチミツに混入するもの」と指摘。「花粉は天然の組成分であり、表示義務などを定めたGM作物に関するEU規則は適用されない」と主張している。

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EUではスペインの年間3万3,000トンを筆頭に、イタリア、ハンガリー、ルーマニア、ポルトガルなどで世界全体の13%に当たる計20万トンのハチミツが生産されており、このうち14万トンが域外に輸出されている。

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