2012/10/1

総合 –EUウオッチャー

スペインが追加緊縮策発表、13年の歳出8.9%削減

この記事の要約

スペイン政府は9月27日、新たな財政緊縮策の概要を発表した。2013年の歳出を前年から8.9%(400億ユーロ相当)減らすほか、増税による税収拡大を図る。これによって欧州中央銀行(ECB)による債務危機支援を取り付けたい […]

スペイン政府は9月27日、新たな財政緊縮策の概要を発表した。2013年の歳出を前年から8.9%(400億ユーロ相当)減らすほか、増税による税収拡大を図る。これによって欧州中央銀行(ECB)による債務危機支援を取り付けたい考えだ。

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同案は2013年度予算案に盛り込まれたもので、ここ9カ月間でまとめた5度目の追加緊縮策となる。11年に国内総生産(GDP)比8.9%に達した財政赤字を同年に4.5%まで削減するというEUへの約束を実行するのが目的。増税では、国営宝くじの2,500ユーロを超える賞金の課税率引き上げ、キャピタルゲイン税や富裕税の増税などにより、最大1,750億ユーロの税収増を目指す。また、中央、地方政府の財政運営を監視する独立機関を新設し、無駄遣いがないか徹底的にチェックする方針も打ち出した。

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追加緊縮策は、ECBがユーロ圏の債務危機対策として新たに決定した重債務国の国債を無制限で買い入れる措置の適用を視野に入れたもの。ECBは同支援実施の条件として、対象国がまずEUの金融安全網である「欧州金融安定基金(EFSF)」や「欧州安定メカニズム(ESM)」による支援を要請することを求めているため、スペインはギリシャなどがEFSFから支援を受けた際に迫られたような厳しい財政再建計画をまとめる必要がある。すでに同国は厳しい緊縮策を導入しているが、ECBへの支援要請に備えて「危機管理予算」(サンタマリア副首相)をまとめた。

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欧州委員会のレーン委員(経済通貨問題担当)は27日発表の声明で、新たな緊縮策を「構造改革実現に向けた一歩」として歓迎するとともに、一部の措置は「欧州委の勧告を上回る内容だ」と評価した。

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ギリシャも緊縮策で合意

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ギリシャのストゥルナラス財務相は27日、EUと国際通貨基金(IMF)による金融支援継続の条件となっている財政緊縮策の概要について、連立政権に加わる3与党が合意したと発表した。2013~14年の2年間で歳出を115億ユーロ削減するほか、税制改正によって20億ユーロの税収拡大を目指す。

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ユーロ圏の信用不安の震源地となり、EUとIMFから第1次、2次合わせて総額2,400億ユーロに上る金融支援を取り付けたギリシャは、トロイカと呼ばれる欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、IMFの合同調査団から定期的に財政再建の進捗状況に関するチェックを受け、支援の見返りとして約束した財政赤字削減が進んでいると認定されなければ追加融資を受けることができない。

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7月に開始されたトロイカの調査では、2014年までに115億ユーロの赤字を削減するという約束の履行に向けた具体案が審査対象となっている。3党合意の詳細は不明だが、ストゥルナラス財務相は「主要ポイントで合意した」としており、1日に再開されるトロイカとの交渉で同意を取り付けたい考えだ。

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