2012/10/1

産業・貿易

スペイン銀行の資本不足は593億ユーロ、7行が資本注入必要に

この記事の要約

スペイン中央銀行は9月28日、国内主要銀行を対象に実施したストレステスト(健全性審査)で、資本不足の総額が最大593億ユーロに上ることが判明したと発表した。この結果に基づき、政府はEUを通じた国内銀行への支援額を決める。 […]

スペイン中央銀行は9月28日、国内主要銀行を対象に実施したストレステスト(健全性審査)で、資本不足の総額が最大593億ユーロに上ることが判明したと発表した。この結果に基づき、政府はEUを通じた国内銀行への支援額を決める。

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ストレステストは、米コンサルタント会社のオリバー・ワイマンに委託して実施したもの。対象となった14行のうち7行が資本不足と判定された。不足額は、政府が促進する銀行合併が実現すれば537億ユーロに縮小するという。

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資本不足額は、すでに国有化されたバンキアが247億ユーロで最大。このほか、カタルーニャバンク(不足額108億ユーロ)、NCGバンコ(同72億ユーロ)、バンコ・デ・バレンシア(35億ユーロ)、バンコ・ポピュラール(32億ユーロ)、BMN(22億ユーロ)、合併が決まっている貯蓄銀行リベルバンク、イベルカハ、カハ3(同計21億ユーロ)が資本不足と判定された。上位3銀行のバンコ・サンタンデール、バンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア(BBVA)、カイシャバンクは健全で、資本増強は必要ないと判定された。

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スペインの銀行は、不動産バブル崩壊に伴って巨額の不良債権を抱えて経営難に陥っており、それが貸し渋りを招いて国内経済の低迷に拍車をかけている。このため政府は6月、財政危機に直面するユーロ参加国に対するEUの緊急金融支援の枠組みである「欧州金融安定基金(EFSF)」による銀行支援を要請。EUは7月に最大1,000億ユーロの支援を実施することを決めた。

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スペインはEUから受ける支援を銀行再編基金(FROB)経由で各銀行に注入する方針で、今回の結果に基づいて対象銀行と注入額を決定する。資本不足額は6月に実施した調査の620億ユーロを下回ったことから、政府内では安堵が広がっており、ラトーレ副経済相はEUへの支援要請額が上限を大きく下回る400億ユーロ程度にとどまるとの見通しを示した。

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