2012/10/1

環境・通信・その他

EU内の大気汚染、都市住民の9割に影響

この記事の要約

欧州環境庁(EEA)は9月24日、EU域内では大気汚染が改善しているものの、大気中に浮遊する粒子状物質の濃度は世界保健機関(WHO)の基準を依然として上回っており、都市部を中心に住民の健康リスクは高いとする報告書を公表し […]

欧州環境庁(EEA)は9月24日、EU域内では大気汚染が改善しているものの、大気中に浮遊する粒子状物質の濃度は世界保健機関(WHO)の基準を依然として上回っており、都市部を中心に住民の健康リスクは高いとする報告書を公表した。

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報告書によると、大気中に直接放出される有害な粒子状物質の濃度は2010年、2001年と比べて15%減少しており、EUによる規制強化の効果が確認された。しかし、都市部では人口の21%が「PM10」(粒子状物質)、30%が「PM2.5」(微小粒子状物質)の影響を受けており、より厳格なWHOの基準でみると、それぞれ81%、95%に影響が及んでいることが分かった。「PM10」は、自動車などや工場、一般家庭から排出される有害な粒子状物質のうち、粒径10マイクロメートル以下のもの(「PM2.5」は同2.5マイクロメートル以下)。粒子状物質にはオゾン、二酸化窒素、ベンゾピレン、二酸化硫黄、一酸化炭素などが含まれ、いずれも血中に入り込んで肺がんや呼吸器疾患、心臓血管疾患を引き起こす可能性がある。

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また、大気汚染により、域内全体では寿命が約8カ月、一部地域では約2年縮まっていると推測されている。地域によっては、状況改善で寿命が22カ月伸びる可能性もあるという。EEAによれば、大気汚染が原因の病気による医療費負担は、域内全体で年間1兆ユーロに上る。

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なお、報告書は改善がみられた点として、大気中の二酸化硫黄の減少を挙げた。EUが燃料への含有率基準を厳格化したことで、初めて基準値を下回った。

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