2012/10/8

欧州ビジネスウオッチ

ギリシャ最大手銀、2位に合併提案

この記事の要約

ギリシャ最大手銀行のギリシャ・ナショナル銀行(NBG)は5日、同2位のユーロバンクに合併を提案したと発表した。同国の債務危機で低下している信用力を2大銀行の統合によって回復するのが狙い。合併が実現すると、資産総額1,70 […]

ギリシャ最大手銀行のギリシャ・ナショナル銀行(NBG)は5日、同2位のユーロバンクに合併を提案したと発表した。同国の債務危機で低下している信用力を2大銀行の統合によって回復するのが狙い。合併が実現すると、資産総額1,700億ユーロ以上、国内外に944支店を持つメガバンクが誕生する。

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NBGは株式交換方式でユーロバンクを事実上買収する形での合併を提案している。ユーロバンク株主は持ち株100株につきNBGの新株58株を受け取る。これにより合併で誕生する新銀行の株式75%をNBGの株主が握ることになる。ユーロバンクは同日発表の声明で、取締役会が合併提案を「建設的な精神で検討する」として、受け入れに前向きの姿勢を示した。

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ギリシャの銀行は、債務危機に伴って保有するギリシャ国債の大きな評価損が生じたことや、景気不振で収益を大きく圧迫されており、同国財務省は合併による体力強化を呼びかけている。大手銀行では4位のピレウス銀行が7月、国有化されたATE銀行の優良資産を取得。3位のアルファ銀行が仏クレディ・アグリコル傘下のエンポリキ銀行を買収する方向で交渉を行っている。

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NBGとユーロバンクが合併すると、国内2位を大きく引き離す巨大銀行となるほか、ブルガリアで最大手となり、ルーマニア、セルビアでも大きなシェアを持つ欧州規模の銀行になる。NBGはこれによって信用力が高まり、金融市場からの資金調達が困難な状況が改善すると期待している。

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NBGのザニアス会長は声明で、「大きな銀行グループの誕生によってギリシャの金融システムが安定化し、経済回復に必要な資金を供給できるようになる」と述べ、合併実現への強い意欲をみせた。

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