2012/10/15

総合 –EUウオッチャー

「ユーロ危機が最大の脅威」、金融不安定化リスクを懸念=IMF

この記事の要約

国際通貨基金(IMF)は10日発表した最新の「国際金融安定性報告書(GFSR)」で、国際金融システムにとって最大の懸念材料はユーロ危機であると強調し、危機が収束しなければ銀行のバランスシートが著しく毀損され、ユーロ圏の成 […]

国際通貨基金(IMF)は10日発表した最新の「国際金融安定性報告書(GFSR)」で、国際金融システムにとって最大の懸念材料はユーロ危機であると強調し、危機が収束しなければ銀行のバランスシートが著しく毀損され、ユーロ圏の成長の減速と失業率の上昇に拍車をかけるとの懸念を表明した。

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IMFは、ユーロ圏解体への不安が、ユーロ圏の周縁国から中核国への資本流出を加速し、資金調達市場の分断化を招いていると指摘。これによってユーロ圏の銀行は、高債務国を中心に資産を圧縮するよう圧力にさらされている。ユーロ圏の政府が適切な危機対応をとらなければ、銀行は来年末までに2兆8,000億ドル~4兆5,000億ドルの資産圧縮を余儀なくされることになるとIMFは予測する。また、デレバレッジ(貸出の縮小)によって資金調達環境は悪化し、成長と雇用の足かせとなっている。IMFは、欧州中央銀行(ECB)の重債務国の国債を買い入れるプログラム(OMT)について、国債利回りの低下につながったとして一定の評価を与えたものの、「周縁国の銀行にとっては資金調達市場の環境は依然として厳しい」として、OMTがデレバレッジング圧力の緩和につながるかどうか判断するには時期尚早であるとの認識を示した。

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IMFは4月のGFSR発表時と比べ、国際金融システム不安定化のリスクは高まっていると指摘。新興市場国については、これまでのところ世界的なショックの連鎖をうまく切り抜けてきているとした上で、中東欧諸国はユーロ圏との直接的な結びつきが強く、最もリスクが高いと指摘。アジアと中南米は全般的に安定しているものの、インド、中国、ブラジルについては、不動産価格と債務残高の上昇というリスクを抱えていると警告している。

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