2012/10/15

総合 –EUウオッチャー

欧州議会がECB新理事の承認拒否へ、男性偏重に抗議

この記事の要約

欧州議会の主要6会派は11日、ルクセンブルク中央銀行のメルシュ総裁の欧州中央銀行(ECB)理事就任を拒否する方針を決めた。同氏の就任を認めた場合、総裁・副総裁と理事4人で構成する理事会が男性のみで構成されることになり、重 […]

欧州議会の主要6会派は11日、ルクセンブルク中央銀行のメルシュ総裁の欧州中央銀行(ECB)理事就任を拒否する方針を決めた。同氏の就任を認めた場合、総裁・副総裁と理事4人で構成する理事会が男性のみで構成されることになり、重要ポストの大半を男性が占める人事上の「システミックな偏り」が解消されないため、というのが拒否の理由。最終的にはユーロ圏財務相が決定権を持つが、欧州議会の強い反対で理事ポストの空席が長引く可能性もある。

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ECB理事会は7月、5月末に任期満了で退任したスペイン出身のゴンサレスパラモ前理事の後任としてメルシュ氏を指名した。同氏の指名承認に向け、当初は9月10日に欧州議会公聴会が開かれる予定だったが、経済金融委員会は女性の候補者が検討されなかったことを理由に開催を延期。同委は今月10日、10月22日に公聴会を開催すると発表していた。

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6会派を代表してフランス選出のグラール欧州議員は11日、「公聴会は予定通りに開催されるが、理事会は提起された問題について十分な検討を行っておらず、(理事指名に関して)否定的な結論を出すことになるだろう」との声明を発表した。

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ECBでは1998年の設立以来、過去14年間に女性の理事就任は2人(フィンランド出身のハマライネン氏とオーストリア出身のトゥンペルグゲレル氏)にとどまっている。また、現在は正副総裁を含む理事会メンバーとユーロ圏17カ国の中央銀行総裁の計23人で構成する定例理事会もすべて男性が占めている。

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一方、ECBのドラギ総裁は9日、「現在のような危機に際し、理事ポストを空席のまま放置すべきではない」と述べ、欧州議会に対しメルシュ氏の就任を速やかに承認するよう求めていた。

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