2012/10/22

競争法

UPSによるTNT買収、欧州委が異議告知書を送付

この記事の要約

米物流大手UPSによるオランダの同業TNTエクスプレスの買収計画をめぐり、欧州委員会は競争法違反の疑いがあるとして両社に異議告知書を送付した。UPSとTNTが19日、共同で声明を発表した。異議告知書の内容は公表されておら […]

米物流大手UPSによるオランダの同業TNTエクスプレスの買収計画をめぐり、欧州委員会は競争法違反の疑いがあるとして両社に異議告知書を送付した。UPSとTNTが19日、共同で声明を発表した。異議告知書の内容は公表されておらず、欧州委が具体的にどのような点を問題視しているかは不明だが、UPSは買収の承認と引き換えに一部事業の売却を求められる可能性がある。

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UPSは今年3月にTNTを約52億ユーロで買収することで合意したと発表した。TNTの買収を通じてUPSは世界的に事業基盤を強化し、欧州のエクスプレス便市場でドイツポスト傘下のDHLを抜き最大手に浮上する。欧州委は7月、大手による寡占化が進んでいる同分野でUPSとTNTの取引を認めた場合、世界各国に航空および陸上輸送ネットワークを持ち、集荷から配送までドアツードアの輸送サービスを提供する「インテグレーター」は両社にDHLと米フェデックスを加えた4社から3社に減ることになり、さらに市場集中度が高まると指摘。特に英国、フランス、ドイツ、オランダなどで寡占化が進む恐れがあるとして買収の承認を見送り、本格的な調査を開始した。

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UPSとTNTは声明で、欧州のエクスプレス便市場では「類似したサービスを提供する多くの事業者」が激しい競争を展開しており、事業統合を通じて顧客により質の高いサービスを提供することが可能になると主張している。両社は数週間以内に異議告知書に対する回答を提出する方針を明らかにし、来年初めには買収計画が承認されるとの見通しを示している。

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