2012/10/29

環境・通信・その他

3時間以上のフライト遅延も補償対象に、欧州裁が原判決を全面支持

この記事の要約

欧州司法裁判所は23日、航空機の到着時間が3時間以上遅れた場合、やむを得ない理由による場合を除き、航空会社は乗客に補償金を支払わなければならないとする判決を言い渡した。オーバーブッキングによる搭乗拒否や運航キャンセルなど […]

欧州司法裁判所は23日、航空機の到着時間が3時間以上遅れた場合、やむを得ない理由による場合を除き、航空会社は乗客に補償金を支払わなければならないとする判決を言い渡した。オーバーブッキングによる搭乗拒否や運航キャンセルなどの被害を受けた乗客に対する補償を定めた現行ルールの解釈をめぐり、2009年に下した判決に沿った内容で、フライトの遅延も補償の対象になるとの判断が改めて示された。

\

04年に採択された補償ルールによると、オーバーブッキングで搭乗できなかった乗客は、目的地までの距離に応じて航空会社から250~600ユーロの補償を受けることができる。また運航キャンセルに関しても、2週間前までに通告がなく、なおかつ振り替え便が手配されなかった場合、搭乗拒否と同額の補償金が支払われる。一方、EU域内を発着する便に5時間以上の遅れが出た場合、たとえ悪天候や管制上のミスといった外的要因が遅延の原因であっても、航空会社は運賃を全額払い戻すほか、フライトが翌日にずれ込むケースではホテルを手配することなどが義務付けられている。しかし、金銭的補償に関する規定はなく、遅延が5時間未満のケースについてもルールが定められていないため、現在、欧州委員会がこれらの点に重点を置いて現行ルールの見直しを進めている。

\

09年の判決は、エールフランスと独コンドル航空のフライトで、到着時間に22-25時間の遅れが生じたケースに対するもの。欧州裁は発着時間の遅れも補償の対象になるとし、3時間を超える遅延が生じた場合、航空会社は搭乗拒否や運航キャンセルと同等の補償金を支払わなければならないと結論づけた。

\

今回の判決は、24時間を超える遅延で乗客に補償を求められている独ルフトハンザ航空と、英国の航空当局に補償免除の申請を却下されたブリティッシュ・エアウェイズ(BA)、英格安航空イージージェット、英旅行大手TUIトラベルおよび国際航空輸送協会(IATA)の訴えに関する2つの事案。欧州裁は発着の遅れが乗客に多大な損害を与える以上、航空会社が補償義務を負うことは「過度の負担とはいえない」と指摘。09年の判決と同様、3時間以上の遅延には運航キャンセルなどと同じ補償ルールが適用されると結論づけた。なお、補償義務が免除される「やむを得ない理由」に該当する具体例は今回も言及されていない。

\