2012/10/29

環境・通信・その他

EU15カ国、京都議定書の目標達成確実に

この記事の要約

欧州委員会は24日、京都議定書に基づく温室効果ガス排出削減目標の達成に向けた進捗状況に関する年次報告書を公表した。これによると、EU内では2004年以降、11年まで一貫して温室効果ガス排出量が減少傾向をたどっており、27 […]

欧州委員会は24日、京都議定書に基づく温室効果ガス排出削減目標の達成に向けた進捗状況に関する年次報告書を公表した。これによると、EU内では2004年以降、11年まで一貫して温室効果ガス排出量が減少傾向をたどっており、27カ国ベースでは域内総生産(GDP)が基準年の1990年比で48%増となったのに対し、温室効果ガス排出量はこの間に18%減少している。欧州委は京都議定書で2008-12年に90年比8%の排出削減を求められている従来からのEU加盟15カ国について、「目標達成に向けて順調に前進している」と指摘している。

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欧州委のヘデゴー委員は「EUは京都議定書に基づく国際的な公約を果たそうとしている。年次報告書の数字によって経済を犠牲にすることなく、温室効果ガスを削減できることが改めて証明された」と強調。そのうえで、域内における温室効果ガス排出量を20年までに90年比で少なくとも20%削減するというEUの中期削減目標を達成するため、さらに取り組みを強化する必要があるとの認識を示した。

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一方、欧州環境庁(EEA)が同日公表したレポートによると、11年の温室効果ガス排出量は15カ国ベースで前年比3.5%減、27カ国ベースでは同2.5%減となった。一方、基準年の90年比では15カ国ベースで13.8%減、27カ国ベースでは17.5%減となっている。ただし、15カ国のうちイタリア、スペイン、ポルトガルなど10カ国は国別の削減目標を達成するため、排出量取引やクリーン開発メカニズム(CDM)などの市場メカニズム(京都メカニズム)を活用する必要があると指摘している。

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EEAのマクグレード事務局長は「2カ月後には京都議定書の第1約束期間が終了する。EUは全体として議定書の数値目標を超える削減を実現できるとみている。EUは(議定書が採択された)1997年からこれまでに著しい前進を見せたが、すべての加盟国が確実に温室効果ガス削減計画を実行して目標を達成しなければならない」と強調している。

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