2012/11/12

総合 –EUウオッチャー

13年EU予算案めぐる協議紛糾、加盟国と欧州議会の対立解けず

この記事の要約

2013年EU予算案の編成が難航している。予算増額の可否をめぐって対立するEU加盟国と欧州議会は、双方の代表からなる調停委員会を通じた協議を9日に開始したが、前提となる12年の補正予算の段階で決裂し、13年予算については […]

2013年EU予算案の編成が難航している。予算増額の可否をめぐって対立するEU加盟国と欧州議会は、双方の代表からなる調停委員会を通じた協議を9日に開始したが、前提となる12年の補正予算の段階で決裂し、13年予算については話し合いさえ行われなかった。13日に協議を再開するが、双方の溝は大きく、予算成立が越年となる可能性が出てきた。

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欧州委員会が4月に提出した13年予算案は、歳出(支払いベース)を前年比6.8%増の総額1,379億ユーロとするという内容。成長、雇用戦略のために必要として、インフレ率を上回る増額を提案した。これを欧州議会は支持しているが、財政再建のため厳しい緊縮策を導入している英国、ドイツ、フランスなどは、増額率は2.8%が上限として、約50億ユーロの削減を求めている。

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調停委員会では同問題について調整する予定だった。しかし、12年の補正予算をめぐり、予算補助金の財源不足や、5月の大地震で大きな被害が出た伊エミリア・ロマーニャ州の復興支援のため、89億ユーロの追加支出を求める欧州委、欧州議会側に対して、加盟国側が増額の根拠が定かでないとして抵抗。この段階で協議はつまずき、伊震災支援に6億7,000万ユーロを支出することで合意するにとどまった。13年予算案については協議の入り口にさえたどり着けなかった。

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交渉の期限は13日。同日の再協議で合意に至らない場合は、欧州委が新たな予算案をまとめなければならないため、年内の予算成立は不可能となる。この場合、13年の予算は暫定的に、前年の予算を土台に月ベースで執行されることになる。

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EUでは欧州債務危機を受けて各国が財政再建に取り組む中、例年にも増してEU予算をめぐる調整が難航。次期中期予算(対象期間:2014~20年)の協議も、大幅な減額を求める主要国と、補助金の削減を恐れる中東欧諸国が対立し、11月22、23日に開催されるEU特別首脳会議での妥結が不安視されている。EU議長国のキプロスは、「13年予算案をめぐる交渉の成功によって、首脳会議での中期予算に関する合意に向けて良い雰囲気を作りたい」(マヴロヤニス欧州問題担当副大臣)として調停委員会に臨んだが、空振りに終わり、中期予算協議への影響も懸念される。

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