2012/11/19

産業・貿易

欧州委が違法漁業で8カ国に警告、改善なければ制裁発動へ

この記事の要約

欧州委員会は15日、違法漁業問題への取り組みが不十分な域外の8カ国に対し、対策強化を求める警告書を送付したことを明らかにした。世界規模で違法・無報告・無規制(IUU)漁業を防止し、水産資源の保存と持続可能な漁業を推進する […]

欧州委員会は15日、違法漁業問題への取り組みが不十分な域外の8カ国に対し、対策強化を求める警告書を送付したことを明らかにした。世界規模で違法・無報告・無規制(IUU)漁業を防止し、水産資源の保存と持続可能な漁業を推進する取り組みの一環で、EUが域外国に対してこうした警告を発するのは今回が初めて。欧州委は漁場の監視や監督の不備といった問題点を指摘し、具体的な対策を盛り込んだ行動計画を提示して各国に改善を求めている。今回の警告にもかかわらず改善がみられない場合、EUは対象国からの水産物の輸入禁止などの措置を講じることになる。

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欧州委から警告を受けたのはスリランカ、カンボジア、ベリーズ、フィジー、ギニア、パナマ、トーゴ、バヌアツの8カ国。インドネシアは約1年にわたるEU側との対話を通じて違法漁業対策を強化した実績が評価され、対象から除外された。

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欧州委のダマナキ委員(海事・漁業担当)は声明で「これはブラックリストではなくイエローカードだ。違法漁業との戦いにおいて対象国もパートナーと位置付けたいが、その一方で、漁業従事者の生活を脅かし、水産資源を枯渇の危機にさらす違法行為を断固として阻止するEUの姿勢を世界に示す必要がある」と強調。8カ国には今回の警告を受けて具体的な措置を講じるための「適切な時間」を与えたと説明し、一定期間をおいても改善がみられない場合は「貿易に影響を及ぼす措置」を検討することになると述べた。

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EUは商業漁業に携わるすべての漁船を対象に、違法漁業によって捕獲された水産物がEU域内で流通することを防止・廃絶するための「IUU規則」を制定し、2010年1月から施行されている。同規則はEU市場に輸出されるすべての水産物および水産加工品(ただし、養殖魚や淡水魚は除く)について、漁船の旗国が合法的に漁獲されたものであることを証明する漁獲証明書の添付を義務付けている。

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欧州委によると、世界全体で総漁獲量の少なくとも15%に相当する年間110-260億トン、金額にして100億ユーロ相当の水産物が違法に漁獲されており、EU域内に輸入される水産物のうち、違法漁業によるものが約16%を占めている。

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