2012/12/10

産業・貿易

銀行監督一元化の調整難航、12日に再協議へ=EU財務相理

この記事の要約

EU加盟国は4日開いた財務相理事会で、ユーロ圏17カ国の銀行監督を欧州中央銀行(ECB)を一元化する計画の詳細について協議したが、監督の範囲、権限をめぐるドイツとフランスの対立が表面化するなど、結論に至らなかった。EU首 […]

EU加盟国は4日開いた財務相理事会で、ユーロ圏17カ国の銀行監督を欧州中央銀行(ECB)を一元化する計画の詳細について協議したが、監督の範囲、権限をめぐるドイツとフランスの対立が表面化するなど、結論に至らなかった。EU首脳会議の前日に当たる12日に再協議するが、目標とする年内の合意は微妙な情勢だ。

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銀行監督の一元化は、EUの「銀行同盟」創設構想の第1段階。ユーロ圏の銀行の監督を各国の金融当局に代わって、ECBに委ねるというものだ。加盟国は10月の首脳会議で、法的な枠組みを整備する作業を年内に終え、2013年内に運用を開始することで合意していた。

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欧州委員会の案では、大手銀行から順にECBの監督下に置き、最終的に6,000を超えるユーロ圏内の全銀行をECBの監督対象とする。ECBは銀行設立などの許認可権や、規制に違反した銀行への制裁発動、資本不足に陥った銀行に対応を命じる権限を持ち、破たんした銀行の処理を主導することにもなっている。今回の理事会では、全銀行を対象とする点について、フランスのモスコビシ経済・財務相が同案を強く支持した。しかし、ドイツのショイブレ財務相が国内の貯蓄銀行の監督権までECBに委ねることはできず、議会の承認を得ることはできないとして反発し、大手銀行だけに限定するよう要求。さらに、ECBが金融政策と監督の権限を一手に握ると独立性が失われるとして、破たん処理などの最終決定権をECB理事会ではなく、各国が保持することを要求した。

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また、英国、スウェーデンなどユーロに参加していないEU加盟国は、ユーロ圏内にある自国の銀行がECBの監督下に置かれるのに、ECB理事会に非ユーロ参加国が加わることができず、政策決定に関与できないのは不公平として、EU基本条約を改定してECB理事会での投票権を非ユーロ圏の国々にも与えるよう求めており、調整が難航している。

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