2012/12/10

産業・貿易

アルゼンチンの輸入規制はWTO違反、EUと日米がパネル設置要請

この記事の要約

EUは6日、アルゼンチンの輸入規制が国際ルールに違反しているとして、日本や米国と共同で世界貿易機関(WTO)に紛争処理小委員会(パネル)の設置を要請した。アルゼンチンは2008年のリーマン・ショック以降、工業製品を対象と […]

EUは6日、アルゼンチンの輸入規制が国際ルールに違反しているとして、日本や米国と共同で世界貿易機関(WTO)に紛争処理小委員会(パネル)の設置を要請した。アルゼンチンは2008年のリーマン・ショック以降、工業製品を対象とした輸入許可制度や、すべての輸入品に対する事前審査・登録制度を導入しており、保護主義的な政策に対して国際的な批判が高まっている。EUは是正を求めて7月にアルゼンチン政府と協議を行ったが、不調に終わっていた。WTOは年明けにもパネルを設置し、9カ月~1年程度かけて審理を行うことになる。

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EUが最も問題視しているのは、アルゼンチンが08年に導入した輸入許可制度。欧州委によると、昨年3月時点で自動車および自動車部品、パソコン、携帯電話など約600品目が同制度の対象となっている。また、同国では今年2月、国内の輸入業者に対し、すべての品目について取引の内容を事前に公共歳入連邦管理庁に登録することを義務づける制度が導入された。さらに政府は貿易業者に対し、輸入と同じ金額の輸出を行うよう求めており、実質的にこれが輸入許可の条件となっている。11年の貿易統計によると、EUからアルゼンチンへの輸出は83億ユーロ、アルゼンチンからの輸入は107億ユーロとなっているが、欧州委はアルゼンチン側の輸入規制により、EU側は年間5億ユーロの損害を受けたと主張している。

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アルゼンチンの輸入規制をめぐっては、EUや日米のほかにメキシコもWTOルールに違反するとして、11月末にパネル設置を要求している。EUとのアルゼンチンの間では、フェルナンデス大統領が今年4月、スペイン石油大手レプソル傘下のYPFを一方的に国有化したのをきっかけに、急速に関係が悪化していた。英フィナンシャル・タイムズ(FT)がEU外交筋の話として報じたところによると、EU高官が5日夜、アルゼンチンのWTO担当高官に正式提訴の意向を伝えたところ、翌日にはEUに先立ち、逆にアルゼンチンがEUを提訴していたことが判明した。アルゼンチン側は、スペインがバイオ燃料の輸入を不当に制限していると主張しているという。EU高官はこれに対し、スペイン政府は既に指摘されたバイオディーゼルの輸入規制を撤廃しており、アルゼンチン側の主張には根拠がないと強調している。

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