2012/12/10

環境・通信・その他

仏伊、高速鉄道計画の推進で一致

この記事の要約

フランスのオランド大統領とイタリアのモンティ首相は3日に会談し、懸案となっているトリノとリヨンを結ぶ高速鉄道の早期着工に向け協力することで一致した。\ トリノ~リヨン間を高速鉄道で結ぶ計画は1991年の仏伊首脳会談で提案 […]

フランスのオランド大統領とイタリアのモンティ首相は3日に会談し、懸案となっているトリノとリヨンを結ぶ高速鉄道の早期着工に向け協力することで一致した。

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トリノ~リヨン間を高速鉄道で結ぶ計画は1991年の仏伊首脳会談で提案された。完成すればパリ~ミラノ間の所要時間が7時間から4時間に短縮され大きな経済効果が期待される一方で、アルプス山脈を貫くトンネル工事による環境被害を懸念する声や、欧州の財政が厳しさを増す中、莫大な建設費を投じることに対する批判の声があがっている。

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公共事業を景気対策の柱と位置づけるオランド大統領は首脳会談で高速鉄道プロジェクトの重要性を改めて指摘。モンティ首相も同プロジェクトは「仏伊2カ国だけでなく、ヨーロッパ全体にとって重要だ」と述べているが、最大で260億ユーロに上るとみられる建設費をどう賄うかが大きな問題だ。オランド大統領は、トリノ~リヨン間高速鉄道が欧州大陸を鉄道網で結ぶプロジェクトの一環であることを強調し、建設費の40%をEUの予算で賄う考えを示している。ただ、EUでは現在、予算の削減あるいは支出の凍結を主張する英国やドイツと予算増額を求める加盟国との間の意見対立から14~20年の予算審議が難航しており、仏伊が要求する予算が組まれるかどうかは不透明な情勢だ。大統領は、「多くのことがEUの予算にかかっている」として、予算獲得に向けてイタリアとともに欧州委員会に働きかける努力を続ける方針を明らかにした。

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