2012/12/17

総合 –EUウオッチャー

安全保障分野で連携強化へ、防衛産業の活性化で合意=首脳会議

この記事の要約

EUは首脳会議2日目の14日、安全保障政策について協議し、世界各地で軍事衝突や地域紛争が頻発するなか、EUが紛争解決や危機管理でより重要な役割を担うため、加盟国が安全保障分野で連携を強化すると共に、欧州防衛産業の競争力強 […]

EUは首脳会議2日目の14日、安全保障政策について協議し、世界各地で軍事衝突や地域紛争が頻発するなか、EUが紛争解決や危機管理でより重要な役割を担うため、加盟国が安全保障分野で連携を強化すると共に、欧州防衛産業の競争力強化を図ることで合意した。EUは声明で「国際社会の平和と安定のため、EUはより大きな責任を担うことが求められている」と指摘し、そうした要請に応えることが「EU市民に安全を保障し」、同時に「雇用創出、経済成長、イノベーションなどにつながる」強調している。

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EUはアムステルダム条約以降、共通外交・安全保障政策の下で防衛分野の統合を進め、2004年には加盟国の防衛能力を支援する目的で欧州防衛庁(EDA)が創設された。米国が安全保障政策の重点をアジアに移すなか、とりわけアフリカや中東地域の平和と安定を促進するうえでEUの役割が重要性を増している。しかし、現実には深刻な財政危機で加盟国の多くが軍事予算の大幅な削減に踏み切っており、あるEU高官は9月、一部の国では空軍が解体の危機にあると警告。市場でも政府調達の激減で防衛関連産業が深刻な打撃を受けており、このままでは投資が縮小して技術面で優位性を維持できなくなり、国際競争力が著しく損なわれるといった見方が出ている。

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EUは声明で、安全保障面でEUがプレゼンスを高めるため、加盟国は「より組織的で長期的な協力体制を構築し、持続可能で革新的かつ競争力のある統合された防衛産業および技術基盤を開発する必要がある」と表明。限られた予算を最大限に有効活用するため、技術開発などで加盟国間の協力体制を強化する必要があると強調している。欧州委員会のバローゾ委員長は今回の合意を受け、欧州防衛産業を活性化するための具体策について早急に検討を進め、来春をめどに戦略文書をまとめる方針を示している。

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