2012/12/17

総合 –EUウオッチャー

伊で債務危機再燃の懸念、モンティ首相の辞意表明で

この記事の要約

イタリアで収まりかけていた債務危機が再燃する懸念が強まっている。財政緊縮策を推進し、成果を挙げてきたモンティ首相が辞意を表明したことを受け、財政再建の不透明感が強まってきたためで、辞任を発表してから初の営業日となった10 […]

イタリアで収まりかけていた債務危機が再燃する懸念が強まっている。財政緊縮策を推進し、成果を挙げてきたモンティ首相が辞意を表明したことを受け、財政再建の不透明感が強まってきたためで、辞任を発表してから初の営業日となった10日の金融市場では国債利回りが上昇。株価も急落した。

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モンティ首相の辞意表明は、ベルルスコーニ前首相率いる中道右派の自由国民党が緊縮策に反発して、政権への支持を撤回し、政権運営が困難となったため。8日にナポリターノ大統領と会談し、来年度予算案が成立してから辞任する意向を伝えた。

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モンティ内閣は12月中に総辞職する予定。これにより総選挙が前倒しで2月に実施されることが確実な情勢となっている。ベルルスコーニ前首相は返り咲きを狙い、首相候補として総選挙に出馬する方針だ。

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ベルルスコーニ前首相の失脚により昨年11月に就任したモンティ首相は債務危機克服に向けて、各界の専門家を集めた実務派内閣を組織し、財政再建策を推進してきた。その成果で信用不安は解消に向かい、7%を超えていた10年物国債の利回りは急低下。その手腕は国内やEU各国から高く評価されていた。

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突然の辞意表明を受けて、伊金融市場では動揺が広がり、10年物国債の利回りは10日に前週末の4.4%から4.75%に急騰。株価は一時、3%以上も下落した。スペインなど債務危機に直面する南欧諸国への波及も懸念されている。

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世論調査では、次期総選挙でベルルスコーニ前首相が政権に復帰する可能性は小さく、緊縮路線の継続をうたう中道左派・民主党のピエルルイジ・ベルサニ書記長が次期首相の最有力候補となっている。それでも国内外ではモンティ首相の続投を望む声が多く、同氏が総選挙に首相候補として出馬するかどうかが大きな焦点となっている。

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