2012/12/17

総合 –EUウオッチャー

EUにノーベル平和賞授与、債務危機克服への結束期待

この記事の要約

2012年のノーベル平和賞に選ばれたEUに対する授賞式が10日、ノルウェーの首都オスロで開かれ、ファンロンパイEU大統領、バローゾ欧州委員会委員長、シュルツ欧州議会議長が代表としてノーベル賞委員会のヤグランド委員長から記 […]

2012年のノーベル平和賞に選ばれたEUに対する授賞式が10日、ノルウェーの首都オスロで開かれ、ファンロンパイEU大統領、バローゾ欧州委員会委員長、シュルツ欧州議会議長が代表としてノーベル賞委員会のヤグランド委員長から記念メダルなどを受け取った。授賞式にはドイツのメルケル首相やフランスのオランド大統領など約20カ国の加盟国首脳も出席した。

\

ノーベル賞委員会は授賞理由として、EUがその前身時代も含め、戦後60年以上にわたって欧州の平和と和解、民主主義と人権の向上に努力してきたことを挙げた。ヤグランド委員長はEUが「欧州を戦争の大陸から平和の大陸へと変えることに貢献した」と称賛するとともに、「EUが根ざす政治的枠組みは以前にも増して重要になっている」と述べ、債務危機問題が長引くなかで欧州の結束が一段と求められているとの見方を示した。ファンロンパイ大統領は、「かつて戦いの舞台だった場所に今は平和が訪れている。しかし、私たちの前には今ある平和をいかに維持するかという、新たな歴史的課題が横たわっている」と平和に取り組む姿勢を強調するとともに、「過去二世代で最悪の経済危機が人々を苦境に陥れ、EUの政治的結束にも試練を突き付けている」と語り、信用不安の克服に向け各国が一致協力することの重要性を訴えた。

\

EUの平和賞受賞をめぐっては、過去の平和賞受賞者である南アフリカのツツ元大主教、北アイルランドの平和活動家マイレッド・マグワイア氏、アルゼンチンの人権活動家アドルフォ・エスキベル氏の3人が、軍事力に頼った安全保障を許容しているEUに平和賞を授与することは賞の趣旨に反するとして、抗議する書簡を出していた。

\

EUはノーベル賞の賞金93万ユーロについて、資金を積み増して200万ユーロとし、紛争地の子供を支援するプロジェクトに寄付すると発表している。

\