2012/12/17

競争法

ハチソンの仏テレコム子会社買収、条件付きで承認

この記事の要約

欧州委員会は12日、香港のコングロマリット、ハチソン・ワンポアが仏通信最大手フランステレコム傘下の携帯電話サービス会社オレンジのオーストリア部門「オレンジ・オーストリア」を買収する計画を承認したと発表した。当初は買収に難 […]

欧州委員会は12日、香港のコングロマリット、ハチソン・ワンポアが仏通信最大手フランステレコム傘下の携帯電話サービス会社オレンジのオーストリア部門「オレンジ・オーストリア」を買収する計画を承認したと発表した。当初は買収に難色を示していたが、ハチソンが競争上の是正策を追加したことから、その実施を条件に認可した。

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フランステレコムはオレンジ・オーストリアに35%を出資している。ハチソンは2月、フランステレコムの保有株と投資会社のミッド・ヨーロッパ・パートナーズが持つ残り株と合わせたオレンジ・オーストリアの全株式を13億ユーロで取得することで合意していた。

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ハチソンは、すでにオーストリアで「ハチソン3G(H3G)」のブランド名で、携帯電話サービス事業を展開している。オレンジ・オーストリアの買収により、同国でのシェアは22%に拡大し、同41%のA1(テレコムオーストリア傘下)、31%のTモバイル・オーストリア(ドイツテレコム傘下)に次ぐ3位に浮上する。

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欧州委は当初、H3Gとオレンジ・オーストリアの統合により、オーストリア携帯電話サービス市場は4社から3社体制となり、競争が大きく阻害される恐れがあるとして難色を示していた。

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これに対してハチソンはまず、H3Gが持つ通信回線網を第3者に開放し、オーストリア携帯電話サービス市場に新たな企業が参入しやすくするという内容の是正策を提示。それでも欧州委の同意を得ることができなかったことから、H3Gが持つ周波数を新規参入する事業者に低価格で売却することや、オーストリア当局が2013年に実施する周波数追加割り当ての入札で、新規事業者に優先権を与えることを提案。欧州委は同措置によって競争上の問題が解消されると判断し、買収認可に踏み切った。

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条件となる通信回線網の開放については、最大16社に上る仮想移動体通信事業者(MVNO)と呼ばれる独自の通信インフラを持たない携帯電話サービス事業者に対して、H3Gが持つ回線の最大30%を向こう10年間にわたって開放することを求められる。

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