2012/12/27

産業・貿易

スペインの銀行再建完了へ、4行への資本注入が承認

この記事の要約

欧州委員会は20日、スペイン政府が資本不足に陥っている国内4銀行に総額18億7,000万ユーロの資本を注入して再建する計画を承認したと発表した。11月に承認した4銀行再建に続くもの。これにより不動産バブル崩壊で揺らいだス […]

欧州委員会は20日、スペイン政府が資本不足に陥っている国内4銀行に総額18億7,000万ユーロの資本を注入して再建する計画を承認したと発表した。11月に承認した4銀行再建に続くもの。これにより不動産バブル崩壊で揺らいだスペインの銀行の立て直しが完了することになる。

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資本注入の対象となるのは、マレノストルム、カハ3、リベルバンク、セイスの4行。いずれも5年前のバブル崩壊で大きな痛手を受けた貯蓄銀行が合併して誕生した銀行だ。

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スペインの銀行は、不動産バブル崩壊にともなって巨額の不良債権を抱えて経営難に陥っており、それが貸し渋りを招いて国内経済の低迷に拍車をかけている。このため政府は6月、EUに銀行支援を要請。EUは7月に最大1,000億ユーロの支援を実施することを決めた。ユーロ圏の金融安全網「欧州安定メカニズム(ESM)」を通じて、スペインの銀行再編基金(FROB)経由で各銀行に注入することになっている。

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スペインは9月に完了した国内銀行のストレステスト(健全性審査)で、資本不足と判定された銀行のうち、独自の資本増強に成功したバンコ・ポピュラール、イベルカハを除く8行に資本を注入することを決定。バンキア、カタルーニャ銀行、ノバガリシア銀、バレンシア銀行に総額約370億ユーロを注入する計画が11月に欧州委から承認された。

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新たに承認された計画では、マレノストルムに7億3,000万ユーロ、セイスに6億400万ユーロ、カハ3に4億700万ユーロ、リベルバンクに1億2,400万ユーロが注入される。

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スペイン政府は銀行救済の条件として、EUから対象銀行の事業縮小、再編を求められている。これに基づいて決まった再建計画により、各行は不動産向け融資などリスクのある事業から撤退し、拠点とする地域でのリテール銀行業務に集中することを迫られる。また、マレノストルムとセイスは国有化され、カハ3はイベルカハに統合される。

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スペイン政府は国内銀行の合併による体力強化を図っており、今回の措置によって銀行数はバブル崩壊前の50以上から約12まで縮小する。

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