2012/12/27

競争法

サムスン電子に異議告知書、3G通信規格の特許めぐり

この記事の要約

欧州委員会は21日、韓国のサムスン電子が欧州各国で携帯電話の通信規格に関連した特許侵害で米アップルを提訴している問題で、サムスンの行為はEU競争法で禁止された市場支配的地位の乱用に当たるとの暫定的な見解をまとめ、同社に対 […]

欧州委員会は21日、韓国のサムスン電子が欧州各国で携帯電話の通信規格に関連した特許侵害で米アップルを提訴している問題で、サムスンの行為はEU競争法で禁止された市場支配的地位の乱用に当たるとの暫定的な見解をまとめ、同社に対し異議告知書を送付したと発表した。サムスンには反論が機会が与えられるが、最終的に欧州委が競争法違反と判断した場合、同社は年間売上高の最大10%の制裁金が課される可能性がある。

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問題となっているのは、サムスンが保有する第3世代携帯電話(3G)の通信規格「UMTS」に関連した特許。同社は欧州における電気通信分野の標準化団体である欧州電気通信標準化機構(ETSI)に対し、スマートフォンなどの開発に不可欠な標準必須特許に関しては、いわゆる「FRAND」と呼ばれる「公正、合理的、非差別的」な条件で他社に使用を許諾することを約束していた。しかし、サムスンはアップルによる特許侵害を主張し、昨年以来、10カ国以上でアップル製品の販売差し止め訴訟を起こしている。欧州委は予備調査の結果、サムスンがFRAND条項を順守せず、ライバルのアップルを市場から締め出す目的で市場支配的地位を乱用している可能性があるとして、今年1月から本格調査を進めていた。

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欧州委のアルムニア副委員長(競争政策担当)は「知的財産権は単一市場の重要な土台だが、産業界と消費者の双方に大きな利益をもたらす標準化に不可欠な特許である場合、権利の乱用を許すべきではない」と指摘。サムスンが特許侵害を理由に欧州各国でアップルを提訴している行為はFRAND条項に違反しており、反競争的行為に当たるとの見方を示した。

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なお、サムスンは今月18日、欧州市場でのアップル製品の販売差し止め訴訟を取り下げる方針を打ち出した。これは米連邦地裁が前日、アップルが求めていたサムスン製品の販売差し止め請求を棄却したことを受けた措置。アルムニア副委員長はサムスンの決定について「満足している」と述べたうえで、引き続き競争法違反の調査を進める意向を示している。

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