2013/1/28

産業・貿易

電気・ガス自由化指令に違反、英など3カ国に制裁金

この記事の要約

欧州委員会は24日、エネルギー分野の単一市場形成を目的とした電気・ガス市場の自由化に関するEU指令を順守していないとして、英国、ブルガリア、エストニアに制裁金を課す方針を明らかにした。EU司法裁判所が承認すれば、英国は1 […]

欧州委員会は24日、エネルギー分野の単一市場形成を目的とした電気・ガス市場の自由化に関するEU指令を順守していないとして、英国、ブルガリア、エストニアに制裁金を課す方針を明らかにした。EU司法裁判所が承認すれば、英国は1日につき約30万ユーロの支払いを命じられることになる。

\

EU加盟国は2011年2月、2014年までにエネルギー分野における単一市場の完成を目指すことで合意し、実現に向けて電気・ガス市場の自由化と統合に関する2つの指令を順守することを確認した。加盟国は11年3月までに両指令に沿って国内法を整備することが義務づけられていたが、欧州委は昨年、期限までに国内法を制定できなかった8カ国に対して履行義務違反の手続きを開始。このうち英国、ブルガリア、エストニアは2段階の警告にもかかわらず、なお法制化の作業が完了していないため、EU法の法的手続きに踏み切った。

\

欧州委によると、英国ではイングランド、スコットランド、ウェールズでエネルギー市場の開放が進んでいるものの、自治政府の発足が遅れた北アイルランドではEU指令に基づく国内法の適用が遅れている。このため、北アイルランドで電気・ガス市場の自由化に関する2つの指令が完全に遵守されるまで、1日につき29万6,000ユーロ(1つの指令につき14万8,000ユーロ)の制裁金を課すとしている。一方、ブルガリアとエストニアに対する制裁金はそれぞれ1日につき8,450ユーロ、9,300ユーロとなっている。

\

キャメロン英首相は前日の23日に対EU政策についての演説を行い、2017年末までにEU離脱を問う国民投票を実施する考えを表明する一方で、単一市場がEUの核を形成しており、加盟国はこれを維持しなければならないと強調。「経済を牽引するサービス、エネルギー、デジタル政策の分野で単一市場が完成するまでは、いわば道半ばの状態だ」と指摘し、英国が率先してエネルギー市場などの自由化を推進する姿勢を示していた。

\

キャメロン首相の演説直後に欧州委が英国への法的手続きに踏み切ったことについて、エッティンガー委員(エネルギー政策担当)の報道官は「非常に不運なタイミングになったが、断じて政治的な判断が働いたわけではない」と強調している。一方、英エネルギー・気候変動省(DECC)の報道官は「今年3月までには残る法制化作業が完了する見通しとなっており、この段階で欧州委が制裁の方針を固めたことは極めて遺憾だ」とコメントしている。

\