2013/2/4

産業・貿易

大型研究助成プロジェクトが決定、グラフェンなどに20億ユーロ

この記事の要約

欧州委員会は1月28日、大型研究助成プログラム『未来・最先端技術(Future and Emerging Technologies;FET)』の助成対象となる2件の研究プロジェクトを選定したと発表した。26件の応募プロジ […]

欧州委員会は1月28日、大型研究助成プログラム『未来・最先端技術(Future and Emerging Technologies;FET)』の助成対象となる2件の研究プロジェクトを選定したと発表した。26件の応募プロジェクトの中から選ばれたのは、炭素新素材「グラフェン」に関する研究プロジェクトと、人間の脳の働きを解明するプロジェクトで、今後10年間にわたって総額10億ユーロの研究助成金がそれぞれ支給される。

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グラフェンは炭素の2次元結晶体で、シリコンと比べはるかに強固なことに加え、軽量で柔軟性に優れ電子移動度も高いため、次世代の電子素子や電池の電極材料として需要が見込まれている。スウェーデンのチャルマース大学のキナレット教授が主導する研究プロジェクトには100を超える研究グループが参加し、主任研究者136人の中には4人のノーベル賞受賞者が含まれている。

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人間の脳を働きの解明を目的とする「ヒューマン・ブレイン・プロジェクト(HBP)」は、スーパーコンピューターを用いて脳の詳細なモデルやシミュレーションを構築する。人間の脳の働きや疾患を解明する手がかりとなるだけでなく、計算科学やロボット工学の革新的な技術発展に寄与すると期待されている。同プロジェクトはスイス連邦工科大学ローザンヌ校のマークラム教授の主導のもと、87の研究機関が参加する。

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欧州委のクルース副委員長は、「知のスーパーパワーとしての欧州の地位は、考えられないことを考える力と最高のアイデアを追求する姿勢にかかっている」と強調。科学技術分野における欧州の競争力を強化するため、研究・イノベーションを対象とした800億ユーロ規模の次期資金助成計画「ホライズン2020」を承認するようEU加盟国政府に求めた。

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