2013/2/11

産業・貿易

店頭デリバティブ規制が3月に施行へ、欧州議会が規制案阻止を撤回

この記事の要約

欧州議会は7日、同日の本会議で採決を予定していた店頭デリバティブ(金融派生商品)取引に対する規制案を阻止する内容の議案を撤回した。EU加盟国はすでに規制案を正式に承認しているため、EU官報への掲載から20日間の告知期間を […]

欧州議会は7日、同日の本会議で採決を予定していた店頭デリバティブ(金融派生商品)取引に対する規制案を阻止する内容の議案を撤回した。EU加盟国はすでに規制案を正式に承認しているため、EU官報への掲載から20日間の告知期間を経て、3月中旬にも店頭デリバティブに対する監視強化を目的とした新規制が施行される見通しとなった。

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欧州議会とEU加盟国は昨年2月、銀行をはじめとする金融機関や一定のポジション(持ち高)を保有する非金融機関(事業会社)に対し◇欧州証券監督機構(ESMA)が定める商品の店頭取引を行う際、すべて中央清算機関(CCP)での清算を義務づける◇すべての店頭デリバティブ取引について、レポジトリ(取引情報集積機関)に取引情報の報告を義務づける――などを柱とする規制案の内容で合意した。ところが欧州議会内では、これまで規制の対象外だった事業会社にとって負担が大きすぎるといった意見が根強く、経済・金融委員会は今月4日、ESMAが提示した譲歩案を反対多数で否決。7日の本会議で現在の規制案を阻止する内容の議案について採決が行われる予定だった。

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しかし、同議案が可決された場合、規制案の抜本的な見直しが不可欠になるため、EUは主要20カ国・地域(G20)が合意した2012年までの導入期限を守れず、国際的な批判にさらされるのは必至。このため欧州委員会のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)が経済・金融委の主要メンバーに書簡を送るなどして、議案を撤回するよう圧力を強めていた。

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バルニエ委員は「デリバティブ取引の責任と透明性を高めるうえで規制改革が不可欠だ」と述べ、欧州議会の動きを歓迎している。同委員は近く米国を訪問して全米商品先物取引委員会(CTFC)のゲンスラー委員長らと会談し、EUの店頭デリバティブ規制が米国の規制と同等の厳格性を有しているとの信認を得たい考えを示した。

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