2013/2/25

環境・通信・その他

排出枠入札の一部延期を承認、欧州議会環境委が条件付きで

この記事の要約

欧州議会の環境委員会は19日、排出権価格の下落に歯止めをかけるため、EU排出量取引制度(EU-ETS)の第3期間(2013-20年)に有償配分する排出枠の入札を一部延期する計画を賛成多数で承認した。排出枠の入札延期をめぐ […]

欧州議会の環境委員会は19日、排出権価格の下落に歯止めをかけるため、EU排出量取引制度(EU-ETS)の第3期間(2013-20年)に有償配分する排出枠の入札を一部延期する計画を賛成多数で承認した。排出枠の入札延期をめぐっては、石炭への依存度が高いポーランドが計画に強く反対しているため、環境委は今月末に再度会合を開き、4月に予定される欧州議会本会議での採決前に加盟国および欧州委員会と交渉を行う必要があるかどうか判断する。

\

EU-ETSの第1期間(05-07年)では全体の95%、第2期間(08-12年)でも90%の排出枠がグランドファザリング方式によって対象施設に無償で割り当てられてきたが、第3期間以降は段階的にオークションによる有償割当への移行を進めて27年までに全面移行することが決まっている。しかし、債務危機に伴う景気低迷で企業の生産活動が停滞し、排出枠に膨大な余剰が生じて排出権価格は現在、5ユーロを下回る水準で推移している。欧州委は企業に環境投資を促すには排出権価格を下支えする必要があると判断し、昨年11月に第3期間の最初の3年間(13-15年)にオークション方式で有償配分する約35億トン分排出枠のうち、9億トン分の入札時期を16年以降に延期する計画を打ち出した。

\

環境委は欧州委が提案する「バックローディング」方式について、排出枠の入札を一部延期することで国際的な競争にさらされているセクターがEU域外に生産拠点を移すといった「重大な危機」に直面することはないと確認された場合に限り、欧州委は「例外的な状況で排出枠の入札時期を変更することができる」との条件を追加。さらに、入札延期は排出枠の需給不均衡を是正するための「短期的な措置」であり、排出量取引制度の「安定と予測可能性を損なうことがあってはならない」との文言を追加したうえで、賛成38、反対25、棄権2で入札の一部延期を承認した。環境委のグルート委員長は「排出枠入札の一部延期は一時的な措置にすぎないが、前向きな一歩だ」と強調している。

\