2013/3/4

産業・貿易

「EU木材規則」が発効、違法伐採製品の取引を全面禁止

この記事の要約

地球規模の環境問題に対する取り組みの一環として、違法に伐採された木材や木材製品のEU市場における取引を禁止する「EU木材規則」が3日付で発効した。新たな規制を通じて地球温暖化の抑制や生物多様性の保存、自然災害の抑制などさ […]

地球規模の環境問題に対する取り組みの一環として、違法に伐採された木材や木材製品のEU市場における取引を禁止する「EU木材規則」が3日付で発効した。新たな規制を通じて地球温暖化の抑制や生物多様性の保存、自然災害の抑制などさまざまな側面で重要な役割を果たす森林を保護し、持続可能な森林管理の実現を目指す。

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EUは世界有数の木材産地であると同時に世界最大級の木材消費地でもある。欧州委員会によると、2011年に取引された総額1,080億ユーロに上る木材製品のうちEU向けが約35%を占め、このうちおよそ10%が違法な伐採によるものとみられている。一方、世界各地で毎年1,300万ヘクタールの森林が破壊されているといわれ、世界全体の二酸化炭素(CO2)排出量の約20%が森林破壊に起因するとの試算もある。

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EUは途上国の森林破壊に歯止めをかけるため、これまでにカメルーン、中央アフリカ共和国、ガーナ、リベリア、コンゴ共和国、インドネシアと二者間協定を締結して合法性を証明された木材または木材製品のみEUに輸入するライセンス制度を導入するなど、木材生産国と協力して違法伐採された木材がEU市場に輸入されるのを阻止する取り組みを進めている。しかし、世界的規模で温暖化対策を推進しながら持続可能な森林管理を実現するため、より包括的な規制の枠組みとして10年3月に木材規則を採択した。

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新規則では違法に伐採された木材や、違法木材を用いた製品のEU市場への出荷が全面的に禁止され、EU市場に最初に木材製品を出荷する事業者は木材および木材製品の合法性を確認するため、伐採国や供給業者などに関する情報収集やリスク評価を柱とする「デューディリジェンス」が義務づけられる。さらにサプライチェーンの全過程で生産履歴へのアクセスを確保するため、木材製品の流通や加工に関わるすべての事業者は、供給業者や顧客に関する情報を5年間保管しなければならない。無垢材、床板、合板、パルプ、紙など幅広い木材製品が規制の対象となるが、トウ、竹などの再生製品や本、雑誌、新聞などの印刷物は対象から除外される。

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