2013/3/18

産業・貿易

対米FTA交渉は今夏までに開始、欧州委が方針表明

この記事の要約

欧州委員会は12日、米国との自由貿易協定(FTA)締結交渉のガイドラインを示し、交渉開始に向け正式な調整に入った。加盟27カ国の承認を経て、今夏までに交渉をスタートさせたい意向だ。\ EUと米国は先月13日、包括的な貿易 […]

欧州委員会は12日、米国との自由貿易協定(FTA)締結交渉のガイドラインを示し、交渉開始に向け正式な調整に入った。加盟27カ国の承認を経て、今夏までに交渉をスタートさせたい意向だ。

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EUと米国は先月13日、包括的な貿易・投資協定「大西洋横断貿易および投資パートナーシップ」の交渉を開始することで合意した。実現すれば世界貿易の約3割を占める巨大自由貿易圏が誕生することになり、投資の活性化や雇用拡大につながると期待されている。一方で、EUでは文化事業に対する支援や遺伝子組み換え作物に関する問題などで米国から大きな譲歩を迫られるのではないかとの懸念が広がっている。巨大な映像産業を抱える米国は、EUの放送番組などに対する補助金交付を国内保護政策として問題視。また、EUの遺伝子組み換え作物やホルモン剤使用牛肉に対する厳しい衛生検疫規制は非関税障壁に当たるとして規制緩和を求めている。こうした懸念について欧州委のデグフト委員(通商担当)は、EUの文化セクターは世界で高く評価されており、加盟国は支援を続けることができると強調。遺伝子組み換え植物に関する規制にも「変更はない」と明言するとともに、「交渉開始が早ければ早いほど、双方にメリットをもたらす合意に早く到達できる」と述べ、早期の交渉開始に意欲を示した。

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米国とEUを合わせた経済規模は世界のGDPの47%に達する。最新の推計によると、FTAが成立すればEUと米国のGDPはそれぞれ年間で0.5%、0.4%押し上げられるという。これは金額に換算するとEUは860億ユーロ、米国は650億ユーロに相当する。

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