2013/3/18

環境・通信・その他

欧州議会、排出権市場への介入勧告案を承認

この記事の要約

欧州議会は14日の本会議で、排出権価格の下落に歯止めをかけるため、2050年までのEUのエネルギー政策に関する報告書の中で排出権取引市場への介入を欧州委員会に勧告する案を承認した。これを受けて排出権価格は一時20%上昇し […]

欧州議会は14日の本会議で、排出権価格の下落に歯止めをかけるため、2050年までのEUのエネルギー政策に関する報告書の中で排出権取引市場への介入を欧州委員会に勧告する案を承認した。これを受けて排出権価格は一時20%上昇し、1トン当たり4.23ユーロまで回復した。

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欧州議会は欧州委が提案しているEU排出量取引制度(EU-ETS)の第3期間(2013-20年)に有償配分する排出枠の入札を一部延期する計画(いわゆるバックローディング)について、4月15日の本会議で採決を予定している。今回の投票結果を受けて市場では同計画が承認されるとの見方が広がり、排出権価格の大幅な上昇につながった。しかし、わずか3票差(賛成292、反対289、棄権32)での承認だったことから、排出権市場への介入の是非をめぐって意見調整が難航している現状が浮き彫りになり、先行き不透明感から排出権価格はその後3.8ユーロまで下落した。

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企業に環境投資を促すには少なくとも1トン当たり20ユーロ以上の排出権価格を維持する必要があるとされるが、債務危機に伴う景気低迷で企業の生産活動が停滞し、排出枠に膨大な余剰が生じて排出権価格は昨年から5ユーロを下回る水準で推移している。欧州委は排出量取引制度を効果的かつ効率的な温暖化対策として維持するには排出権価格を下支えする必要があると判断し、昨年11月に第3期間の最初の3年間(13- 15年)にオークション方式で有償配分する約35億トン分排出枠のうち、9億トン分の入札時期を16年以降に延期する計画を打ち出した。

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トムソン・ロイター傘下の情報サービス会社ポイント・カーボンのアナリスト、マーカス・フェルディナンド氏は「今回の投票結果がバックローディングに対する支持を意味するものではない」と強調。排出量取引システムの救済策に対する欧州議員の立場は現時点でまったく統一されていないと指摘し、4月の採決では欠席または棄権する議員が多く出るとの見方を示している。

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