2013/3/25

産業・貿易

加盟国と欧州議会、銀行賞与規制で合意

この記事の要約

EU加盟国と欧州議会は20日、銀行員の賞与(ボーナス)に上限を設ける規制強化策で合意した。4月に開かれる欧州議会本会議の採択を経て、2014年1月から新規制が導入される見通しだ。\ 賞与規制は国際的な銀行資本規制「バーゼ […]

EU加盟国と欧州議会は20日、銀行員の賞与(ボーナス)に上限を設ける規制強化策で合意した。4月に開かれる欧州議会本会議の採択を経て、2014年1月から新規制が導入される見通しだ。

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賞与規制は国際的な銀行資本規制「バーゼル3」を実施するためのEU法の一環として導入され、EU域内に本社や現地法人を置くすべての銀行に適用される。新ルールによると、銀行員のボーナスは原則として年間給与と同額が上限となる。65%を超える株主の承認があれば給与の最大2倍まで支給することが可能だが、議決が定足数(株式総数の半数を保有する株主)以下で行われる場合は75%の承認が必要となる。

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世界有数の金融センターを抱える英国は人材流出の懸念などを理由に規制強化に強く反対していたが、トレーダーなどのリスク行動を抑制するには厳格な規制が不可欠とする欧州議会や他の加盟国から新たな譲歩を引き出すことはできなかった。ただ、一部の加盟国からは今夏のボーナスから新ルールを適用すべきだとの意見が出ていたが、最終的に導入時期を来年1月とすることで合意した。

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一方、欧州議会の経済金融委員会は21日、ファンドマネジャーのボーナスについて、年間給与と同額を上限とする規制案を賛成多数で承認した。投資信託に関するEU共通ルールを定めた「譲渡可能な証券の集団投資事業(UCITS)に関する指令」に準拠する投資ファンドの運用担当者に適用される。規制案をまとめたギーゴールド議員は、投資信託を対象とする賞与規制は前日に合意された銀行賞与規制を補完するもので、ファンドマネジャーのボーナスに上限を設けることで「投資家保護を強化し、過度にリスクの高い投機を抑制することができる」と説明している。

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しかし、投資家やアナリストからは賞与規制の導入によってファンドマネジャーに支払う固定給が上昇し、かえって逆効果になるといった意見が出ている。プライスウォーターハウスクーパース(PwC)のパートナー、ジョン・テリー氏は「経済金融委で承認された規制案に近いルールが導入された場合、ファンドマネジャーに対する報酬システムは根本的に変化することになるだろう。ファンドマネジャーは金融サービス分野で最も厳しい報酬規制に直面している」と指摘している。

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