2013/4/8

競争法

ニナスのシェル精製設備取得、欧州委が本格調査に着手

この記事の要約

欧州委員会は3月26日、スウェーデンの石油精製業者ニナス(Nynas)が石油メジャーのロイヤル・ダッチ・シェルから独ハンブルクの製油所にあるベースオイル精製設備を取得する計画について、競争法の観点から本格調査に着手したと […]

欧州委員会は3月26日、スウェーデンの石油精製業者ニナス(Nynas)が石油メジャーのロイヤル・ダッチ・シェルから独ハンブルクの製油所にあるベースオイル精製設備を取得する計画について、競争法の観点から本格調査に着手したと発表した。両社の取引を認めた場合、ナフテン系ベースオイルではニナスが欧州における唯一の精製業者となり、公正な競争が阻害されるおそれがあるため。欧州委は最大90営業日にわたる調査を経て、8月8日までに最終的な結論を出す。

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ニナスはベネズエラ石油公社とフィンランドの石油大手ネステオイルの合弁会社で、工業用潤滑油、金属加工油、インク、工業用ゴムなどに使用されるナフテン系ベースオイルの精製を中核とする。同社はシェルの独子会社からハンブルク製油所内の高圧水素化精製設備を取得することで合意。今年2月に欧州委に認可を申請した。

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欧州委は初期調査の結果、欧州市場ではニナスとシェル以外にナフテン系ベースオイルの精製を手掛ける事業者がいないため、両社の取引を認めた場合、ニナスが実質的に市場を独占することになると指摘。ナフテン系プロセスオイルや変圧器(トランス)油などの分野でも同社の支配力が強まり、幅広い製品で価格上昇などを引き起こす可能性があると分析している。

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