2013/4/29

産業・貿易

監査法人規制案がトーンダウン、任期上限は25年に

この記事の要約

欧州議会の法務委員会は25日、EU域内で活動する監査法人を対象とする規制案を賛成多数で可決した。欧州委員会は同一企業の監査を担当できる期間を最大6年に制限することや、監査業務とコンサルティングなど非監査業務の分離などを提 […]

欧州議会の法務委員会は25日、EU域内で活動する監査法人を対象とする規制案を賛成多数で可決した。欧州委員会は同一企業の監査を担当できる期間を最大6年に制限することや、監査業務とコンサルティングなど非監査業務の分離などを提案していたが、業界団体などの強い反発を背景に、法務委では大幅に緩和した内容の修正案が承認された。欧州議会本会議とEU閣僚理事会で規制案について検討する。

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監査法人に対する新たな規制は、「ビッグ4」と呼ばれる大手監査法人による寡占状態を改善し、監査業務の透明性と信頼性を高めるのが狙い。欧州委によると、EU域内の上場企業に対する法定監査では4大監査法人(プライスウォーターハウスクーパース(PwC)、デロイト、アーンストアンドヤング(Y&G)、KPMG)の占めるシェアが大部分の国で85%を超え、英国では代表的な株価指数であるFTSE 100の構成銘柄のうち99%を4社が担っている。一方、企業側にとっては同業他社と同じ監査法人を使いたくない事情もあり、選択肢はほとんどないのが実情。欧州委はこうした企業と監査法人のなれ合いが米エンロンの粉飾会計事件やリーマンショックを引き起こす要因になったとの認識に立ち、2011年11月に監査法人に対する規制強化策を打ち出した。

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欧州委の原案によると、監査法人が同じ顧客企業の法定監査を担当できるのは最大6年間(複数の監査法人を採用している場合は最大9年)となっていたが、修正案では原則14年で、セーフガードが講じられた場合(具体的にどのような条件を指すかは不明)は最大25年まで延長可能となっている。さらに監査法人と顧客企業の利益相反を防ぐため、欧州委は監査法人が監査を担当する企業にコンサルティングや危機管理など、監査業務以外のサービスを提供することを禁止し、大手監査法人に監査部門と非監査部門の分離を義務付けるルールの導入を提案していた。しかし、法定監査業務は安定しているもののさほど成長が見込めないのに対し、コンサルティングを含む非監査業務は急速に需要が拡大しているため、監査業務と非監査業務の分離に対して業界側が強く反発。その結果、法務委の修正案では同項目が削除された。

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