2013/4/29

産業・貿易

EU共通の住宅ローン規制案で基本合意

この記事の要約

欧州議会とEU加盟国、欧州委員会は22日、EU共通の住宅ローン規制を導入する法案(指令案)の内容で基本合意した。過剰な融資を防ぎ消費者保護を強化することによって、欧州金融危機の発火点となった不動産バブルの再発を防止するの […]

欧州議会とEU加盟国、欧州委員会は22日、EU共通の住宅ローン規制を導入する法案(指令案)の内容で基本合意した。過剰な融資を防ぎ消費者保護を強化することによって、欧州金融危機の発火点となった不動産バブルの再発を防止するのが狙い。

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指令案は、住宅ローンの借入や返済条件などに関し、金融機関が消費者に誤解を与えるような広告や情報提供を行うことを禁止。住宅ローンを提供する金融機関の適切な認可登録・監視体制を確立することや、ローン滞納による不動産差し押さえ要件の厳格化、ローン契約の締結前に「欧州標準情報シート」(ESIS)という域内共通の書式に金利などの返済条件を記入することを義務づけ、消費者が複数の銀行のローン条件を比較できるようにするなど、消費者保護に重点を置いている。一方、金融機関は域内共通の信用データベースを通じて、借り手の国籍にかかわらず個人の信用リスクを把握しやすくする。このほか、国境を超えた住宅ローン業務を促進するため、域内のどこでも住宅ローンを提供できる「パスポート」制を導入することも盛り込まれた。

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欧州委員会のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)は、「米国で支払い能力をチェックすることなく住宅ローンを貸し付け、情報不足の脆弱な消費者に過度のリスクを取らせたことによるサブプライム危機が世界金融危機の発端となった」と指摘。欧州でもアイルランドやスペインで同様の事態が起こり、住宅バブルの崩壊につながったことに言及し、指令案は「こうした過剰な貸し付けに終止符を打ち、責任ある融資慣行を促進する」と語った。指令案は欧州議会と閣僚理事会の正式承認を経て、近く成立する見通しだ。

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