2013/5/6

産業・貿易

欧州裁、医薬品庁に情報開示差し止め命令

この記事の要約

医薬品の臨床試験データの開示をめぐって米製薬会社2社が欧州医薬品庁(EMA)と争っていた問題で、欧州司法裁判所の第一審裁判所は開示を一時差し止める命令を下した。EMAが4月30日、明らかにした。\ 臨床試験データの開示差 […]

医薬品の臨床試験データの開示をめぐって米製薬会社2社が欧州医薬品庁(EMA)と争っていた問題で、欧州司法裁判所の第一審裁判所は開示を一時差し止める命令を下した。EMAが4月30日、明らかにした。

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臨床試験データの開示差し止めを求めていたのは米製薬会社のアッヴィとインターミューン。EMAは製薬会社などからの要請に応じてデータを開示する方針をとっており、アッヴィの関節リウマチ治療薬「ヒュミラ」とインターミューンの肺線維症治療薬「エスブリエット」について、ベルギーのUCBと独ベーリンガー・インゲルハイムからそれぞれ開示要請が出されていた。EMAは第一審裁判所の決定に遺憾の意を表明するとともに、上訴を検討していることを明らかにした。

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EMAは2010年11月、医薬品の臨床試験報告を含むあらゆる情報へのアクセスを促進する方針を決定。これまでに613件の要請に対して190万ページに及ぶデータを開示してきた。14年1月からはデータの能動的開示に踏み切る方針だ。EMAのこの方針には臨床試験に関する情報の透明性の向上につながるとして、ロシュやグラクソスミスクラインなどの大手製薬会社が積極的な支持を表明する一方、業界の一部からが多額の費用をかけて実施した臨床試験のデータがライバル会社に提供されることで、将来の投資へのインセンティブが阻害されるとの声があがっている。

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