2013/5/21

産業・貿易

対米FTA交渉で視聴覚サービスを対象外に、13カ国が仏の要求を支持

この記事の要約

フランスやドイツなどEU14カ国の文化担当相は14日、米国との自由貿易協定(FTA)締結に向けた協議について、視聴覚サービスを交渉の対象から除外するよう求める共同書簡をEU議長国アイルランドに送付した。フランスは自国の文 […]

フランスやドイツなどEU14カ国の文化担当相は14日、米国との自由貿易協定(FTA)締結に向けた協議について、視聴覚サービスを交渉の対象から除外するよう求める共同書簡をEU議長国アイルランドに送付した。フランスは自国の文化産業を保護する立場から、映画やテレビなどの視聴覚サービスを交渉から外すよう求めており、ドイツ、イタリア、スペインなどがこれを支持したかたち。一方、英国のキャメロン首相は13日、訪問先の米国で、すべての分野を交渉の対象とすべきだとの立場を表明している。アイルランドは6月の貿易相理事会で交渉開始を正式決定したい考えだが、加盟国の意見調整が難航する可能性もある。

\

EUと米国は今年2月にFTAを含む包括的な貿易・投資協定の締結交渉を開始することで合意した。EU・米間のFTAが実現すれば世界全体の国内総生産(GDP)の約半分、貿易総額の約3割を占める巨大貿易圏が創設され、国際的な貿易体制に大きな影響を及ぼすことになる。

\

EU側は米国との交渉にあたる欧州委員会の現体制が任期満了となる2014年10月末までの妥結を目指しているが、フランスは視聴覚サービスを交渉から除外するとの要求が認められない場合は交渉開始を阻止する構えをみせている。さらに欧州議会の国際貿易委員会も先月、文化関連や視聴覚サービスを交渉から外すことを条件に、早期の交渉開始を支持するとの決議案を可決している。

\

14カ国の文化担当相は連名の書簡で「世界貿易機関(WTO)や自由貿易に関する二国間協定で、EUは常に視聴覚サービスを交渉の対象から除外してきた」と指摘。対米交渉でこうした原則を維持できなければ、テクノロジーの進歩や経済発展に対応して自らルールを策定することができなくなると警告している。

\

一方、キャメロン首相はオバマ米大統領との会談後に臨んだ会見で「FTAがもたらすメリットを実現するには野心と強い政治的意思が必要だ。それは困難な問題も含めて、すべての分野を例外なく交渉のテーブルにのせることを意味する」と発言。早ければ英国が議長国として6月に北アイルランドで開く主要8カ国(G8)首脳会議までの交渉入りも可能との考えを示し、「今後5週間が極めて重要になる」と述べた。

\