2013/6/10

総合 –EUウオッチャー

欧州中銀が金利据え置き、今年の予想成長率は下方修正

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は6日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を現行の年0.5%に据え置くことを決めた。ユーロ圏では景気低迷が長期化しており、ECBは内部経済予測で今年の予想成長率を下方 […]

欧州中央銀行(ECB)は6日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を現行の年0.5%に据え置くことを決めた。ユーロ圏では景気低迷が長期化しており、ECBは内部経済予測で今年の予想成長率を下方修正したが、好転の兆しがあるとして、現時点での追加利下げは不要と判断した。

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ECBは5月に10カ月ぶりの利下げに踏み切り、政策金利を0.25ポイント引き下げたばかりであることから、金利据え置きは予想通り。

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ユーロ圏は今年1-3月期まで6期連続のマイナス成長と、過去最長の景気後退に陥っている。債務危機は後退したが、実体経済の回復は遅れているためインフレ率が許容範囲内に収まっており、さらなる利下げの余地があることからECBに追加緩和を求める声がくすぶっている。

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ECBは同日公表した内部経済予測で、今年のユーロ圏の予想成長率をマイナス0.6%とし、前回(3月)の0.5%から下方修正した。しかし、ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、景況感が上向いていることに触れ、今年後半には「経済が安定し、回復する」との見通しを表明。内部予測でも2014年の予想成長率はプラス1%から同1.1%に引き上げたことから、「(理事会では)非常に真剣な協議の末に、現時点で行動を起こす根拠となる状況の変化が一切認められなかった」として、追加利下げを見送ったことを明らかにした。

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さらにドラギ総裁は、中小企業の資金繰りを支援するため、民間金融機関が手元資金をECBに預け入れる際の金利(オーバーナイト金利)を0%からマイナス金利にすることや、企業向け融資を裏づけとする資産担保証券(ABS)市場の活性化といった異例の緩和措置についても、念頭には置きながらも現時点の導入に消極的な姿勢を示した。ただ、景気の動向を「非常に注意深く見守っていく」とした上で、「必要な限りは緩和を続ける」と述べ、追加金融緩和に含みを残した。

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