2013/7/1

環境・通信・その他

ブロバン通信速度、広告表示と大きな隔たり=欧州委

この記事の要約

欧州委員会がEU域内でサービスを提供している250以上のインターネット接続事業者(ISP)を対象に、DSL(デジタル加入者線)、ケーブル、FTTH(光ファイバー回線)の3つの接続方式による通信速度を調査したところ、ピーク […]

欧州委員会がEU域内でサービスを提供している250以上のインターネット接続事業者(ISP)を対象に、DSL(デジタル加入者線)、ケーブル、FTTH(光ファイバー回線)の3つの接続方式による通信速度を調査したところ、ピーク時の通信速度(下り)は広告などに明記されている最大通信速度の平均74%にとどまることが分かった。正確な情報に基づく消費者の選択を手助けするため、欧州委は2014年末にかけてさらに2回の調査を実施し、広告表示と実際の通信速度にどの程度の乖離があるかを明らかにする方針を示している。

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欧州委は今年3月、EU27カ国、新規加盟国のクロアチア、ノルウェー、アイスランドの計30カ国で、計9,104人のインターネット利用者を対象に調査を実施した。それによると、ピーク時(平日の午後7時~11時)の下り通信速度はDSLが平均7.19メガビット/秒(Mbps)、ケーブルが33.8Mbps、FTTHが41.02Mbpsとなっている。これを各社の広告に表示された最大通信速度と比較すると、ケーブルは平均91.4%、FTTHは84.4%と、両者の格差が比較的小さいのに対し、DSLは63.3%と低く、実際の通信速度が広告表示より4割近く遅いことが分かった。一方、上りは3方式の平均が6.2Mbpsで、広告表示の通信速度を12%下回っている。

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国別にみると、主要国ではフランスと英国でDSLの通信速度が広告表示の速度をそれぞれ平均40.4%、44.7%下回っている。一方、他の2方式は国による遵守状況のばらつきが比較的小さく、広告表示に対する実際の通信速度はケーブルで84.7%(アイルランド)~96.4%(エストニア)、FTTHは68%(ベルギー)~105%(デンマーク)の範囲に収まっている。なお、今回のリポートでは事業者別のデータは公表されていない。

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欧州委のクルース副委員長(デジタルアジェンダ担当)は「EUレベルで収集された信頼性の高いデータから、広告のうたい文句と実際の通信速度に大きな隔たりがあることが初めて確認された。今後も調査継続して情報に基づくEU市民の選択を支援すると共に、ブロードバンド分野における単一市場の創設に向けて具体策を検討する際の材料にしていく」と述べた。

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