2013/7/8

総合 –EUウオッチャー

財政規律の柔軟運用で公共事業拡大へ、欧州委が発表

この記事の要約

欧州委員会は3日、景気・雇用対策として、EUの財政規律を一時的に緩め、赤字を抱える加盟国が公共事業を実施しやすい環境を整える方針を打ち出した。2013、14年については、一部のインフラ整備事業への支出を財政赤字から除外す […]

欧州委員会は3日、景気・雇用対策として、EUの財政規律を一時的に緩め、赤字を抱える加盟国が公共事業を実施しやすい環境を整える方針を打ち出した。2013、14年については、一部のインフラ整備事業への支出を財政赤字から除外する。具体的な提案をまとめ、EU財務相理事会の承認を得た上で実施する方針だ。

\

同計画は欧州委のバローゾ委員長が欧州議会で明らかにしたもの。EUの財政規律を定めた安定成長協定では、各国に単年の財政赤字を国内総生産(GDP)比3%以内に抑えることを義務付けているが、13、14年の2年間は公共インフラ投資を赤字に組み入れず、本来なら実施できないプロジェクトに着手できるようにする。ただし、対象事業は交通、エネルギー関連など長期的な経済成長に寄与するプロジェクトに限られる。

\

また、過剰な財政赤字を抱える国には適用しない。このため、EU筋によると実際に恩恵を受けるのはルーマニア、ブルガリア、バルト3国など一部の加盟国だけで、財政悪化が深刻なイタリアなどは引き続き厳しい監視下に置かれる見通しだ。

\

EUではギリシャを震源地とした債務危機が発生した3年前から、各国が財政健全化を重視して緊縮策を導入した結果、景気が低迷し、失業率も過去最悪の水準に達している。こうした状況を受けてフランス、スペイン、ポルトガルなどの赤字削減期限を延長する措置を導入した。新たに財政規律を弾力的に運用し、赤字が上限を超えても公共事業を促進できるようにすることで、景気の底上げ、雇用創出を図る。

\