2013/7/29

産業・貿易

カード手数料に上限設定へ、欧州委が規制案を発表

この記事の要約

欧州委員会は24日、クレジットカードやデビットカードによる決済時の手数料に上限を設ける規制案を発表した。欧州のクレジットカード市場で合わせて9割超のシェアを占めるビザ・ヨーロッパとマスターカードは、欧州委による競争法違反 […]

欧州委員会は24日、クレジットカードやデビットカードによる決済時の手数料に上限を設ける規制案を発表した。欧州のクレジットカード市場で合わせて9割超のシェアを占めるビザ・ヨーロッパとマスターカードは、欧州委による競争法違反調査の過程で国境を越えた取引に係る決済手数料の大幅な引き下げに合意しているが、EU内で使用されている他の国際クレジットカードにも共通の規制を適用して手数料水準を全体として引き下げ、個人や企業を対象としたリテール決済サービスの競争を促進する。今後、EU閣僚理事会と欧州議会で規制案について検討する。

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欧州委員会によると、2011年にEU域内で発行されたペイメントカード(クレジットカード、デビッドカード、プリペイドカード)は約7億2,700万枚に上り、域内総生産(GDP)の約1%に相当する年間約1,300億ユーロの「インターチェンジフィー」と呼ばれる手数料が加盟店側からカード発行会社に支払われている。欧州委は「不当に高い」手数料が小売価格に転嫁され、結果的に消費者の負担増につながっていると分析。さらに、手数料水準は国によってばらつきが大きく、リテール決済サービス分野における単一市場の実現を妨げる要因になっていると結論づけ、新たな規制の範囲や適正な手数料水準について検討を進めていた。

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欧州委の提案によると、まず22カ月の移行期間を置いて国境を越えたカード決済に係るインターチェンジフィーに規制を適用し、クレジットカードは利用額の最大0.3%、デビットカードは同0.2%を手数料の上限に設定する。その後は国内でのカード使用時にも同じ料率を適用する。金融機関が発行するカードはすべて規制の対象となり、ビザやマスターカードに加え、すべてのダイナースカードとアメリカン・エキスプレスのうち9%に上限が適用される。一方、航空会社の提携カードに代表される第3者(スリーパーティ)スキームに分類されるカードや、コーポレートカード(法人用クレジットカード)、ビジネスカード(主に中小企業や個人事業主などを対象に発行される経費決済用のクレジットカード)など商用目的のコマーシャルカードは規制の対象外となる。

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欧州委の試算によると、新たな規制の導入により、加盟店側のコスト負担は年間約60億ユーロ軽減される見通しだ。

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