2013/8/19

産業・貿易

銀行のリスク評価に「著しい差異」、EBAが定義・算出方法統一を提言

この記事の要約

欧州銀行監督機構(EBA)は5日公表した銀行の自己資本規制に関連したリポートで、域内の銀行が保有するリスク資産や損失見通しの算出方法には大きなばらつきがあり、金融当局はリスクの定義や計量モデルの統一を図るべきだとの見解を […]

欧州銀行監督機構(EBA)は5日公表した銀行の自己資本規制に関連したリポートで、域内の銀行が保有するリスク資産や損失見通しの算出方法には大きなばらつきがあり、金融当局はリスクの定義や計量モデルの統一を図るべきだとの見解を示した。EUは2014年1月から国際的な銀行資本規制「バーゼルIII」に基づく新規制の導入を目指しており、リスク資産は銀行の資本レベルを評価するうえで重要な項目の1つとなる。EBAは市場の透明性を確保し、投資家の信頼が得られる市場を確立するには、域内の銀行が統一された基準および方法で自己資本比率を算出する必要があると指摘。各国の金融当局に迅速な対応を求めている。

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EBAは今年2月、域内16カ国の89行を対象にリスク資産の算出方法について調査を実施。今回は第2弾として13カ国の35行を対象に、2012年下半期におけるデフォルト(債務不履行)リスクが低い資産について分析を行った。

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EBAは「リスクウェイトや損失見通し(の算出方法)について銀行間で著しい差異がある」と指摘し、域内で規制上のアプローチが統一されていない点や、銀行ごとにデフォルトやその他のリスクの定義にばらつきがある点を問題視。銀行自身や監督当局の実務の違いによって生じる差異を最小限に抑え、リスク評価の整合性を高めるため、統一された定義に基づくリスクウェイトの定期的な公表や、低デフォルト資産のリスク算出に関する新たな指針の策定などを提言している。

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銀行が保有するリスク資産の評価方法をめぐっては、バーゼル銀行監督委員会も先月、銀行間のリスク計量モデルや監督当局の対応に大きな差があるとの調査結果をまとめ、さらに分析を続けて必要な措置を検討するとしている。

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