2013/8/19

競争法

ドイツ鉄道が電力供給事業で是正策、差別的料金システム廃止など提案

この記事の要約

ドイツ鉄道(DB)が国内の鉄道運行用電力供給事業で市場支配的地位を乱用している疑いがあるとしてEUが調査を進めている問題で、欧州委員会は15日、DBが提示した料金システムの変更を柱とする是正策について利害関係者から意見を […]

ドイツ鉄道(DB)が国内の鉄道運行用電力供給事業で市場支配的地位を乱用している疑いがあるとしてEUが調査を進めている問題で、欧州委員会は15日、DBが提示した料金システムの変更を柱とする是正策について利害関係者から意見を聞く「市場テスト」を開始した。1カ月以内に反対意見が出なければ、DBは拘束力を持つルールとして是正策の遵守が義務付けられ、違反した場合は売上高の最大10%に相当する制裁金の支払いを命じられる可能性がある。

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欧州委はDB傘下の電力供給会社DBエネルギーがグループ企業に安値でサービスを提供する一方、ライバル社には割高な料金を設定している疑いがあるとして、2011年3月にDBグループへの立ち入り調査を実施。ドイツではDBエネルギーが列車駆動用の電力供給事業を独占しているため、差別的な料金システムがとりわけ長距離旅客輸送および貨物輸送の分野で公正な競争を阻害しているとの疑いを強め、昨年6月から本格調査を進めていた。

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DBエネルギーは競争法違反による制裁を回避するため、すべての鉄道会社に対して同じ条件で運行用電力を供給し、DBエネルギー以外の事業者が鉄道会社に直接電力を供給できるようにすると表明。具体的には◇他社から徴収する送電網使用料について、電力市場の監督機関である連邦ネットワーク庁の承認を得て料金設定を行う◇鉄道運行用の電力供給については一律の料金システムを導入し、これまでDBグループに適用していた契約年数および規模に基づく値引きを廃止する◇これまでの差別的な料金体系を是正するため、DBグループ以外の鉄道会社に対して直近の年間請求額を基に一律4%を払い戻す◇DBエネルギーの新たな料金システムが不公正な価格体系を引き起こしていないか検証するために必要な情報を欧州委に提供する――の4点を確約している。

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市場テストでDBエネルギーの提案に対する反論が出なければ、欧州委の調査は直ちに打ち切られるが、同社は2014年から5年間にわたり是正措置の遵守が義務付けられる。

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