2013/8/26

環境・通信・その他

20年以降のEU-ETS改革、英が年内の最終案提示を要求

この記事の要約

英エネルギー・気候変動省(DECC)は22日、EUが温暖化対策の柱と位置付ける排出量取引制度(EU-ETS)について、2020年以降に向けた制度改革の最終案を年内にまとめるよう欧州委員会に求めた。DECCは声明で、EUが […]

英エネルギー・気候変動省(DECC)は22日、EUが温暖化対策の柱と位置付ける排出量取引制度(EU-ETS)について、2020年以降に向けた制度改革の最終案を年内にまとめるよう欧州委員会に求めた。DECCは声明で、EUが競争力のある低炭素社会に転換するため、30年までに1990年比で40%の温室効果ガス削減を目指すとして欧州委のシナリオを支持したうえで、目標達成に向けて企業に環境投資を促すためにも、できるだけ早期にEU-ETSの改革案について本格的な議論をスタートさせる必要があると強調している。

\

EU-ETSでは第3期間がスタートした今年から段階的にオークションによる排出枠の有償割当を拡大し、27年までに全面移行することが決まっている。しかし、長引く景気の低迷で生産活動が停滞し、排出枠に膨大な余剰が生じた結果、排出権価格は今年に入り1トン当たり5ユーロを下回る水準で推移している。企業に環境投資を促すには最低でも20ユーロ前後の排出権価格を維持する必要があるとされるが、今後5年以内に排出権価格が15ユーロを超えることはないといった試算もある。こうした現状に対応するため、20年までの第3期間に関しては現在、有償配分する排出枠の入札を一部延期する「バックローディング」構想について協議が続いているが、欧州委は20年以降に実施するより抜本的な制度改革として、排出上限枠を経済成長率に連動させて微調整する「調整メカニズム」の導入などを提案している。

\

DECCは「EU-ETSは長期的な温室効果ガス削減目標を達成するうえで最もコスト効率の高い手段だが、同制度を十分に機能させるには長期的な法的確実性を担保し、EUが引き続き温暖化対策で世界をリードする姿勢を示して投資を促す必要がある」と指摘。欧州委に対して年末までにEU-ETSの改革案を提示するよう強く求めた。

\