2013/8/26

環境・通信・その他

欧州で森林の高齢化進む、30年にCO2吸収量が飽和点

この記事の要約

欧州4カ国の研究チームはこのほど、欧州では急速に森林の高齢化が進んでおり、二酸化炭素(CO2)の吸収量が飽和点に近づいているとの論文を発表した。欧州は中世から一貫して世界有数の森林地帯だが、最近は広い範囲で森林の成長に鈍 […]

欧州4カ国の研究チームはこのほど、欧州では急速に森林の高齢化が進んでおり、二酸化炭素(CO2)の吸収量が飽和点に近づいているとの論文を発表した。欧州は中世から一貫して世界有数の森林地帯だが、最近は広い範囲で森林の成長に鈍化がみられ、山火事、暴風雨、病害虫などの被害を受けやすくなっていると警告。EUは森林によるCO2吸収量を温室効果ガス削減目標の達成手段に組み込む際、従来の算出基準を見直す必要があると指摘している。

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論文はオランダ、フィンランド、スイス、イタリアの研究チームが共同で執筆し、18日発行の英科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ」最新号に掲載された。これによると、第2次大戦では欧州全域で甚大な被害が出たものの、戦後まもなく広範囲で造林が行われたことで現在も広大な森林地帯が維持されている。しかし、徐々に樹木の高齢化が進んだ結果、2005年以降は広い範囲で森林の成長が鈍化しており、このまま何も手を打たなければ2030年前後には「飽和点」に達してその後はCO2吸収量が減少に転じると警告している。

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研究チームを率いたワーヘニンゲン大学(オランダ)のヤン・ナブルス教授は、「戦後の森林再生が長年にわたりCO2削減に貢献してきたが、飽和状態が近づいていることを知らせる兆候が見え始めている。森林のCO2吸収を持続させるには早急に森林政策を見直す必要がある」と指摘。特定の地域で重点的に造林を進めるなど効率的かつ効果的な森林管理を実現する必要があると強調している。

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一方、欧州環境庁(EEA)の研究員はロイター通信に対し、森林の成長鈍化がみられるのは主にフランスやドイツで、他の地域では引き続き成長が持続されていると説明。「森林の成長鈍化はごく一部のエリアでみられる現象であり、欧州大陸全体が危険な状態にあると判断するのは時期尚早だ」と指摘している。

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