2013/9/9

環境・通信・その他

航空排出規制でEUが譲歩の姿勢、ICAO総会で国際的枠組み構築へ

この記事の要約

航空部門に対する温室効果ガス排出規制をめぐりEUと米国や中国などが対立している問題で、EU側が譲歩の姿勢を見せ始めている。国連の国際民間航空機関(ICAO)による国際的なルールづくりが本格化する見通しとなったことを受けた […]

航空部門に対する温室効果ガス排出規制をめぐりEUと米国や中国などが対立している問題で、EU側が譲歩の姿勢を見せ始めている。国連の国際民間航空機関(ICAO)による国際的なルールづくりが本格化する見通しとなったことを受けたもの。欧州委員会はEUルールに代わる国際的な合意が形成された場合、現行スキームを見直す方針を示しており、当面は9月24日~10月4日にカナダのモントリオールで開催されるICAOの年次総会での議論が焦点となる。

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EUは2006年、EU排出量取引制度に航空部門を組み込み、過去の実績に基づいて域内の空港を発着するすべての航空各社に二酸化炭素(CO2)の排出枠を割り当て、実際の排出量が枠を超えた場合は超過分の排出権を市場で購入するか、制裁金の支払いを求めるという規制の導入を決めた。第1段として、11年1月からEU域内の路線を結ぶ航空機に新規制が適用され、12年1月からは域内の空港を発着して域外と結ぶ国際線の航空機に対象が拡大された。

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しかし、国際間の合意がないまま域外の航空会社に域内ルールを適用するEUのアプローチに対し、米国、中国、インド、ロシアなどが国際法に抵触するとして強く反発。昨秋のICAO理事会では36カ国のうち26カ国がEU規制に反対を表明するなど、EUは国際的に孤立した。欧州委はこうした事態を受け、昨年11月に域内と域外を結ぶ国際線の航空機に対する規制を1年間、凍結すると発表。今秋のICAO総会までに航空機の排出規制に関する国際的な合意をまとめるよう強く要求し、合意形成に至らなければEU独自の規制を再開すると警告していた。

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欧州委・気候行動総局のデルベケ総局長は4日、同日開かれたICAO理事会で、16年末までに20年以降の国際的な規制の枠組みを構築することで合意したことを明らかにし、「(合意文書には)好ましくないいくつかの問題点が含まれているが、満足できる妥協点からさほど遠くないところまできている」と述べた。同氏はさらに、EUを念頭に、特定の地域で導入されている航空部門を対象とする排出量取引制度について、国際的なルールが整備されるまで域外の航空会社への適用を制限するとした理事会の決定に触れ、「域内を結ぶ路線の航空機については引き続き排出量取引制度を適用できるということだ」と指摘した。

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