2013/9/30

環境・通信・その他

欧州裁法務官の見解分かれる、代理出産の産休めぐり

この記事の要約

代理出産により子供を得た母親の産休取得の権利をめぐって、欧州司法裁判所の2人の法務官が26日、異なる見解を示した。\ 英国で代理出産により母親となった女性が産休の取得を拒否されたことは不当だとして雇用主を訴えているケース […]

代理出産により子供を得た母親の産休取得の権利をめぐって、欧州司法裁判所の2人の法務官が26日、異なる見解を示した。

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英国で代理出産により母親となった女性が産休の取得を拒否されたことは不当だとして雇用主を訴えているケースについて、ココット法務官はEU法の下では代理出産の依頼母にも産休は認められるとの判断を下した。EUでは女性の最低産休期間を14週間と定めているが、生物学上の母親のみが適用対象となっている。同法務官は、代理出産が認められている加盟国では、代理出産の依頼母にも代理母にも産休が認められるべきだと指摘。代理母と依頼母それぞれ最低2週間の産休を認めるとともに、残り10週間の産休期間については、新生児の最大の利益となるよう配慮しながら依頼母と代理母との間で配分することが望ましいとの見解を示した。

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一方、ワール法務官は、子宮欠損症のため代理母出産を利用したアイルランドの女性教師が、産休取得を拒否されたのは差別に当たるとであるなどとして訴えているケースについて、EU法では女性教師に産休の権利を自動的に認めることはできないとの見方を示した。同法務官は、EUの母性保護指令に定められている産休の目的は、「妊娠および出産後の身体的・精神的負担」からの回復であると指摘。代理出産に伴う困難を軽視する意図は全くないとしながらも、「代理出産を利用した女性と妊娠と出産による身体的・精神的制約を耐えた女性を同等視することはできない」と述べた。

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法務官の見解に法的拘束力はないが、欧州司法裁は多くのケースで法務官の意見に沿った判断を示している。今回法務官の見解が別れたことで、欧州司法裁がどのような最終判断を下すかが注目される。

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