2013/10/7

競争法

ガスプロムへの法的手続き準備、中東欧で競争阻害=欧州委

この記事の要約

欧州委員会のアルムニア副委員長(競争政策担当)は3日、ロシアの国営ガス会社ガスプロムがEU競争法に違反した疑いが強まったとして、同社に対する法的手続きの準備を進めていることを明らかにした。欧州委がどの段階で法的手続きに入 […]

欧州委員会のアルムニア副委員長(競争政策担当)は3日、ロシアの国営ガス会社ガスプロムがEU競争法に違反した疑いが強まったとして、同社に対する法的手続きの準備を進めていることを明らかにした。欧州委がどの段階で法的手続きに入るかは不明だが、最終的に競争法違反と認定してガスプロムに巨額の制裁金を科した場合、ロシア側の反発は必至で、EUと同国の関係に影響が及ぶ可能性もある。

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欧州委は昨年9月、ガスプロムが中・東欧における独占的な地位を乱用し、ガス価格を原油価格に連動させて不公正な価格設定を行うなど、域内のガス市場で公正な競争を阻害している可能性があるとして、正式な調査を開始した。前年には域内の複数の国で立ち入り調査を実施し、ガスプロムがチェコ、ハンガリー、ポーランド、リトアニア、エストニア、ラトビア、ブルガリア、スロバキアでガス供給ルートの多様化を阻害したり、ガス価格を不当につり上げているとの疑いを強めていた。

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アルムニア委員はリトアニアの首都ビリニュスで行った講演のなかで、ガスプロムに対する調査に言及し、「いつ次のステップに進むかを予測することは時期尚早だが、異議告知書を送付する方向で準備を進めている」と述べた。法的手続きに入る時期については「予め期限を定めることはしない」と強調したが、ロイター通信は事情に詳しい関係者の話として、欧州委は年内に異議告知書を送付する方針と報じている。

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EUは天然ガス需要の約25%をロシアからの輸入に依存しており、このことがエネルギー安全保障上の問題になってきた。しかし、米国を中心にシェールガスの供給量が急速に増加していることなどを背景に、欧州委はガスプロムに対し、長期契約の下で天然ガスの価格を原油価格に連動させて高値に設定するといった従来からの商慣行を改めるよう求めている。

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