2013/10/7

環境・通信・その他

EU通信規制改革案に英政府が反発、周波数入札への介入など問題視

この記事の要約

欧州委員会が9月に打ち出した通信市場の統合に向けた規制改革案をめぐり、英国がEUレベルでの周波数管理などに強く反発しているもようだ。EU加盟国は今月24日の通信相会議で欧州委の提案について話し合う予定だが、改革案には域内 […]

欧州委員会が9月に打ち出した通信市場の統合に向けた規制改革案をめぐり、英国がEUレベルでの周波数管理などに強く反発しているもようだ。EU加盟国は今月24日の通信相会議で欧州委の提案について話し合う予定だが、改革案には域内の他の国で携帯電話を使用する際のローミング手数料の廃止なども含まれており、協議は難航が予想される。

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ロイター通信が入手した英政府から欧州委宛ての書簡によると、英国は欧州委の提案のなかで、周波数オークションで落札額が過度に高騰したり、入札プロセスに不正があったと判断した場合、欧州委の権限でオークションを無効にできるとのルールをもっとも問題視している。欧州委は企業が長期的な計画に基づいて投資しやすい条件を整えるため、事業者への周波数の割り当てやオークションの実施などは引き続き各国当局に委ねるものの、欧州委が必要に応じて介入し、契約条件を調和させるなどの措置を講じることができるようにすることを提案している。2000年前後に欧州主要国で実施された第4世代(3G)移動体通信用の周波数オークションで落札額が高騰し、これが落札事業者の経営を圧迫して結果的に通信網の整備が遅れたことを踏まえたもので、市場の透明性を高めて投資を促し、日・米・韓に比べて大きく遅れをとっている4Gサービスや高速インターネット接続サービスの普及を図る狙いがある。

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英政府は書簡の中で、高速ブロードバンド通信などの普及を促進する必要性を認めたうえで、EUに対して「加盟国の通信当局の権限に影響が及ばない形で」各国の政策を支援するよう求めている。さらに、携帯電話の国際ローミングにかかる手数料を廃止する計画に関しては、「現行規制の枠組みの中で段階的に実施すべきだ」と指摘し、通信事業者の収益悪化につながるルールの導入を強く牽制している。

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