2013/10/21

総合 –EUウオッチャー

トルコとの加盟交渉再開を勧告、アルバニアの加盟候補国認定も=欧州委

この記事の要約

欧州委員会は16日発表したEU拡大に関する年次報告書で、トルコとの加盟交渉の再開とアルバニアの加盟候補国認定、マケドニアとの加盟交渉開始を加盟国に勧告した。EU加盟国は22日に開く欧州問題担当相の理事会で、勧告を受け入れ […]

欧州委員会は16日発表したEU拡大に関する年次報告書で、トルコとの加盟交渉の再開とアルバニアの加盟候補国認定、マケドニアとの加盟交渉開始を加盟国に勧告した。EU加盟国は22日に開く欧州問題担当相の理事会で、勧告を受け入れるかどうかを協議する。

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トルコとEUの加盟交渉は2005年に開始されたが、トルコがEU加盟国であるキプロス(ギリシャ系の南キプロス)の国家承認を拒否していることや、イスラム教国である同国の加盟にドイツ、フランスが難色を示したため、交渉は停滞。35に上る交渉項目のうち交渉開始にこぎ着けたのは13項目、完了したのは1項目だけという状態にある。新たな項目での交渉開始も2010年6月からストップしている。

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欧州委は報告書で、トルコ政府が反政府運動を厳しく弾圧したことを「過剰な実力行使」として非難し、警察に対する統制を強化する必要があると指摘した。しかし、司法改革が進み、少数民族クルド人勢力との和平交渉がスタートしたことなどを評価し、加盟交渉を再開して、「地域政策」の項目での交渉を開始することを勧告した。

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加盟国の間では、トルコは人権問題などの取り組みが遅れているとして、交渉再開に難色を示す国が多いが、欧州委のフューレ委員(EU拡大担当)は、一部のバルカン諸国がEUに加盟したことで民主化などが進んだことに言及し、トルコが加盟交渉に復帰することで国内改革が進むと強調している。

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アルバニアは09年にEU加盟を正式に申請した。しかし、政治・経済改革や汚職、組織犯罪対策の遅れが障害となり、次の段階となる加盟候補国認定に至っていない。欧州委は報告書で、今年の議会選挙が円滑に実施されたことや、政府が汚職、組織犯罪対策に取り組んでいることを評価し、加盟候補国として認定することを勧告した。

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マケドニアに関しては、2005年に加盟候補国として認定されたが、次の段階となる加盟交渉開始は見送られている。欧州委は09年に同国が交渉開始の基準を満たしたとして、同年から4年連続で交渉開始を勧告してきたが、国名をめぐって対立するギリシャの拒否権発動により、実現に至っていない。今回も改めて交渉開始を勧告したが、国名問題を解決しない限り、前進できない状況にある。

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