2013/10/21

総合 –EUウオッチャー

EU規制が企業活動と経済成長を阻害、英政府の諮問委が改革提言

この記事の要約

英政府は15日、EUの過度な規制がさまざまな分野で企業の活動を制限し、欧州経済の成長を妨げているとして、欧州委員会に抜本的な規制の見直しを求める報告書を公表した。キャメロン首相は「非常に多くのケースでEUのルールは企業に […]

英政府は15日、EUの過度な規制がさまざまな分野で企業の活動を制限し、欧州経済の成長を妨げているとして、欧州委員会に抜本的な規制の見直しを求める報告書を公表した。キャメロン首相は「非常に多くのケースでEUのルールは企業にとって不利な条件になっている。過度の規制を排除して欧州企業の負担を軽減する方法があるはずだ」と述べ、24-25日のEU首脳会議でEUの規制改革について協議したい考えを示した。

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英国内でEU離脱論が高まりをみせる中、キャメロン首相は2015年の次期総選挙で与党が勝利した場合、EUとの間で英国の加盟条件について再交渉したうえで、17年末までにEU残留の是非を問う国民投票を行うと表明しているが、EU残留を持論とする同首相は交渉の前提条件として、大規模な規制緩和や加盟国の主権奪還を柱とする改革の実現を求めている。今回の報告書はEUとの交渉に備えた現状分析の一環として、首相の指示でファロン民間企業担当閣外相と6人の財界人で構成する諮問委員会がまとめた。

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報告書はEUの規制について、「無意味で厄介なコストのかかる」ルールがあまりにも多いと指摘。シェールガスの採掘、医薬品の認可制度、労働時間の制限、産休制度など幅広い分野で不必要な規制を取り除き、ビジネスを展開しやすい環境を整える必要があるとして、30項目の規制改革を提言している。報告書は具体例として、安全面のリスクが低いセクターを対象に従業員の健康や安全に関する記録を義務づけるルールを廃止した場合、企業側の費用負担は27億ユーロ軽減されると試算している。

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欧州委のバローゾ委員長は報告書を受け、「欧州委は過去5年間に5,590件の規制を廃止し、それによって行政コストは323億ユーロ削減された」と強調。「単一市場を適正に機能させるためには共通ルールが不可欠だが、EUとして不必要な介入はしない」と述べ、一段の規制改革を進める考えを示した。

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