2013/11/11

総合 –EUウオッチャー

日産ゴーン社長が英のEU離脱牽制、「投資見直しが必要」

この記事の要約

日産自動車のカルロス・ゴーン社長は8日、BBCとのインタビューで、仮に英国がEUから離脱することになった場合、同社は英国事業への投資計画を見直さざるを得なくなると発言した。同社長はこれまで、EU離脱は日産の英国事業にとっ […]

日産自動車のカルロス・ゴーン社長は8日、BBCとのインタビューで、仮に英国がEUから離脱することになった場合、同社は英国事業への投資計画を見直さざるを得なくなると発言した。同社長はこれまで、EU離脱は日産の英国事業にとって不利になるとの考えをくり返し述べており、実際に英国がEUから離脱するシナリオは「考えにくい」とつけ加えた。

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ゴーン会長は同日、フルモデルチェンジした2014年型「キャシュカイ(Qashqai)」の生産開始に合わせてイングランド北東部のサンダーランド工場を視察し、そこでメディアの取材に応じた。キャメロン首相は2015年の次期総選挙で与党が勝利した場合、EUとの間で英国の加盟条件について再交渉したうえで、17年末までにEU残留の是非を問う国民投票を行うと表明しているが、仮に英国がEUからの離脱を選択した場合、日産はどのような対応をとるかとの質問に対し、同社長は「明らかに大変な事態であり、日産の将来にとってどのような意味を持つのかを慎重に考えなければならない。もしも変化が避けられないのであれば、我々は将来に向けた事業戦略と投資計画を見直す必要がある」と発言。そのうえで、実際に英国がEUから離脱するとは考えにくいとの考えを示し、「サンダーランド工場については心配していない。サンダーランドは極めて高い競争力と生産性を持つ欧州の中心的な生産拠点だ」と強調した。

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およそ6,500人が従事するサンダーランド工場は英最大の自動車生産拠点で、年間生産台数は50万台を超える。日産によると、このうち輸出が約80%を占め、大部分がEU市場向けとなっている。

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英国がEU内に留まるべきかどうかについて産業界の意見は分かれている。英産業連盟(CBI)が7月に実施した調査では、78%の企業がEU残留を支持し、離脱派の10%を大きく上回った。CBIは今月初めにまとめた報告書でも、EU内に留まることが「圧倒的に」英国の経済的利益につながるとの見解をまとめている。しかし、CBI前専務理事のディグビー・ジョーンズ卿は7日付タイムズ紙への寄稿で、英国は自由市場で競争力を高めるため、EU離脱を考えるべきだと主張。EUは「雇用の破壊者」であり、EU離脱は決して「魅力のない選択肢ではない」と述べている。

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