2013/11/25

競争法

ドイツポストへの補助金めぐり独政府を提訴、回収命令の不履行で

この記事の要約

欧州委員会は20日、郵便・物流サービスで欧州最大手のドイツポストに対する補助金交付を不当として、ドイツ政府を欧州司法裁判所に提訴したと発表した。欧州委は昨年1月、ドイツポストが1995年以降に受けた公的支援策の一部がEU […]

欧州委員会は20日、郵便・物流サービスで欧州最大手のドイツポストに対する補助金交付を不当として、ドイツ政府を欧州司法裁判所に提訴したと発表した。欧州委は昨年1月、ドイツポストが1995年以降に受けた公的支援策の一部がEUの国家補助規定に抵触するとの調査結果をまとめ、独政府に対して最大10億ユーロの回収を命じた。しかし、決定から2年近く経過した現在もドイツ側が回収命令に応じていないため、法的手続きに踏み切った。

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ドイツポストをめぐっては、民営化が進められた1990年代から欧州委と独政府の間でEUの国家補助規定との整合性について攻防が続いている。欧州委は2002年、ドイツポストが政府から不当な補助金を受け取ったとして同社に5億7,200万ユーロの返還を命じたが、欧州裁の第一審裁判所(当時)は同年末、欧州委は補助金が不正に使用されたことを十分に証明できていないと指摘し、返還命令を無効とする判決を下した。

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欧州委はその後、米郵便・物流大手UPSの申立てを受け、07年9月にドイツポストに対する新たな調査に着手し、11年5月には民営化プロセスで生じた公務員年金に関連する負担増を補てんするための公的支援に対象を拡大。政府が補助金の交付に加えて郵便料金の引き上げを認めたことで、ドイツポストは他社との競争で不当な優位性を得たと結論づけ、独政府に「料金規制が適用されていないサービス」に対する補助金の回収を命じた。

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欧州委によると、独政府はドイツポストから一般的な郵便関連サービスに対する補助金を回収したものの、同じく料金規制の適用外である企業向け小包郵送サービスについては回収を拒んでいる。EU司法裁が独政府の対応を欧州委の命令に対する履行義務違反と認定した場合、同国には多額の制裁金が科されることになる。

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